第29話:ドイツで鬱病専門の病棟へ行く

これは突然来た話だ

隔離病棟で毎日生活をしていた、何も考えず、ただ毎日を。

何も考えない事が出来なかったのだが、ここでは何故か出来る。

多分、情報を止めているからだろう。

対人、ネットや気を遣う事も、ほぼ無い。

そんな毎日だったのだが、医者のマークから呼ばれる。


オフィスへ行くと、いつも通り、煩雑とした机だ。

そして、マークさん、髭を剃った様だ。

んー、やっぱりマークグリーンに似てるよなぁとか思いながら話を始めた。


マ:「最近の調子はどうだい?」

僕:「そこそこ、特に何も」

マ:「ふむ、君に提案をしたい事がある」

僕:「なんでしょう?」

マ:「君を鬱病専門の病棟に空きが今日できたからそこへ移そうと思っている」

僕:「オープンステーションと何か違うんですか?」

マ:「基本はオープンステーションと同じだが、患者は皆鬱病だ」

僕:「そうなんですね」

  「どっちでも良いです、よしなに」

マ:「では、今日移動してもらおう」

僕:「分かりました」

マ:「理由を聞かないのかい?」

僕:「どんな答えを言っても、行くのは変わりないでしょ?」

  「それが今か近い未来との違いですし」

  「大方、一番マシな人材を移して、新しい患者を入れる」

  「そんな所かと」

マ:「分かっているね、そういう物分かりの良い人ばかりだと助かるんだけどね」

僕:「病院も会社も変わりませんよ、やり方に」


僕は愛想笑いをし、握手をした。

そして、病室へ戻った。

荷物をまとめ、ジルさんが入ってくる。

ジ:「遂に移動ね」

僕:「ですね、平和でここ好きなんですけどね」

ジ:「ここを好きなんて、珍しいわね」

  「何か有ったらまた戻ってきてね」

こんな会話をして4階へ行った。

ジルさんは優しい。


4階にある、鬱病専門エリア

オープンステーションとほぼ同じ。

そんな感想だ。

本当に印象がない。


流れも大して変わらない。

違った点は

カリキュラムを決めるのは看護師な事と

毎朝グループディスカッションがある位だ。

それで終わりだ。


変化と言えば、カウンセラーが医師のアンソニーになった。

移動初日は必ずカウンセラーと会話がある。

アンソニーは相変わらずカジュアルでクールだ。

感情の起伏が無いと言うとおかしいが、落ち着いている。


ア:「久しぶり」

僕:「こんにちは」

ア:「鬱病専門の病棟へようこそ」

  「ここの説明は看護師からしてもらったね」

僕:「ええ」

ア:「では、情報も全て隔離病棟から貰っているから問題ないが」

  「薬を一つ追加するよ」

僕:「突然ですね…」

ア:「ああ、君の行動を確認しててね、ある薬が効果があるかなって」

  「ブプロピオンって言う薬、毎朝150㎎投与するよ」

僕:「ふーん…」

ア:「念の為、説明するよ」

  「ブプロピオン、これはNDRIと呼ばれるカテゴリの薬だ」

  「アメリカでは結構メジャーな薬なんだ、名前は違うけどね」

  「大げさな言い方だが、テンションを上げる効果さ」  

  「面白いのは禁煙補助の効力もあるんだ」

僕:「禁煙か…」

ア:「禁煙したくないの?」

僕:「そりゃね、依存してるからね」

ア:「一度トライしてくれ」


この薬を投与が鬱生活を少し変える。


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鬱病専門の病棟ですが、オープンステーションとそんなに変わらないのは、不思議でしたね。


最近病院の話しかしてないので、次はドイツの日常と文化の相違的な話を。

次回、嫁さんとパンケーキで戦争が始まる


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