鶴林寺に至るまでに
徳島県の山奥にある寺。スマホのマップで、交通機関を使って行く方法を検索しても出てこないほどの山奥。
先日、私はこの難所に歩いて行った。ここは四国遍路第二十番であり、遍路道がある。その道を歩いて行った。
山の、森の、霧が立ち込めた、360度見渡しても木また木の、幽寂な道のり。
私は得体の知れない恐怖を感じ、同時に寺を目指す高揚感を抑えられず、独り言をもらしながら山道を登った。
途中で、山に囲まれた平地と河川が一望できるポイントがあった。なぜか「オーシャンビュー!」と叫んでしまったのは、空間的な広大さゆえだと思う。
弘法大師は難行のためこの山道を登っただろう。しかしそこから1100年経った現代、山道は難行を含んだ行楽の一部になっている気がする。
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