旅行をたくさんしていた日々

島尾

一人旅こそが、旅

今では毎日が腐っている私ですが、つい2年前までは人生で最も輝いていました。

旅行をたくさんしていたからです。

旅行なんてしょうもない、私が大学に入りたての頃にはそういう固定観念がありました。特に強い理由があるわけではないですが、挙げるとすれば、所属していたサークルの旅行で、「集団で行動するのは気を遣いすぎて精神的に疲れる」という体験でしょう。集団での旅行は、周りの人が自分を束縛していますから、周りの人の周りに広がる素晴らしき世界に目が向きにくくなり、目が向いたとしても精神的に落ちついて無い状態ですから、素晴らしき世界を素晴らしいとは思いにくいのだと思います。

しかし、一人旅は違う。

周囲は煩わしき人ではなく、素晴らしき世界です。

一人旅をもってして初めて、素晴らしき世界と直接触れ合うことが可能なのです。これは私個人の経験による主張ですが、自信を持ってそう言えます。

ああ、懐かしき我が、輝きの日々よ……

腐った日常に浸る今でさえ、過去の一人旅の経験はその輝きを失いはせぬ。微塵も。

これから、私の一人旅の思い出を書き連ねようと思います。第一の目的としては、私自身の旅を思い出して腐った日常を忘却するという、人様にはあまり印象の良くないものです。よって、自分の経験を人様にお伝えするという目的は、副産物のような形になってしまいます。しかし、一人旅が本当に生活を輝かせたというのは確かですので、一人旅をしてみたい人やこれを読んで一人旅をしてみたいと思われた方にとっては、何かしらの収穫が期待できるのではと存じます。

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