屋根裏の同居人

路地猫みのる

モノローグ

 新しい人が来たみたいだ。


 少年は、ベッドから半身を起こして、狭い窓の外に見える景色を見下ろした。

 ほとんど散ってしまった桜並木の下にトラックが停まっていて、たくさんの荷物が運ばれてくる。新しい住人が引っ越してきたのだ。


 今度も家族連れかな。それとも、夫婦かな。


 少年はじっと人の流れを見ていたが、どうやら今回の住人は、若い女性がひとりだけのようだった。


 少年は、新しい住人がひとりでも、ふたりでも、別に興味はなかった。


 今度の人は、僕のお願い、きいてくれるかな。


 ただそのことだけが気がかりで、ずっとずっと、明るい窓の外を見つめていた。

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