魔法都市プリズニカ

山波アヤノ

序章

 この世界は、ここの人間は、腐敗しきっている。


 そして、自分自身も、すっかり腐っているのを感じる。


 目の前で人が殺された。

 血を流している。ピクリとも動かない。

 その頭を踏みつけて笑う輩がいる。


 しかし、何も思わない。

 助けようと思えない。悔やむことも、同情も、「かわいそう」とすら思えない。


 これが日常。殺した者が強者で殺された者は弱者。人を縛る法などない。


 この都市に、光が差すことなどあり得ないことなのだ。



 プリズニカ──それは、この世から隔離された、人類の終着点。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る