ヴァイオレンス香川

渡邊SUN屍

第1話道を閉ざした先は・・・

「龍雅!俺は前に詰める!カバーに来てくれ!早く!!」


「おい待てっKai!一人で前に出るな!!クソっ・・・裏警戒を解くなよ龍雅!!」


「ブラインドが入った!裏攻めが厚い・・・2人・・・3・・・いや4人だ!!待て詰めるな!そっちは釣りだ!!」





 ワールドe-スポーツチャンピオンシップ・・・通称WEC。




そこでは1年に一度、世界中から強豪チームが集まって、FPSの王を決める大会が開かれていた。






「おっと・・・?ここでオーシャン・クロス・ゲーミング残り30秒で裏攻めに切り替え始めています!!」






「これは素晴らしい判断!この切り替えにトーキョー・アスリート・ゲーミング・・・気づけていませんっ!!そして、フラッシュ、グレネードと共に全ての能力が使われ、雪崩れ込むようにラッシュを仕掛けてきたぁ!!」






「ここで裏から詰めてきたKaiをオーシャンのSunがカット!現地を守っていたRyugaをカット!!続けてKungもカット!!トーキョー・アスリート・ゲーミング対応しきれていません!!残されたのはRivinただ一人・・・」






「これは厳しいですねぇ・・・前後でしっかりクロスが組まれていますし、下からHeviiもゆっくりと詰めてきています・・・最後はフラッシュを合図に同時に詰められて試合終了です!実況は私オータとげ~とでお送りしました。7-1でオーシャン・クロス・ゲーミングの勝利となりましたGG!!」






試合後の空気は最悪だった。






「龍雅!前に詰めるタイミング合わせてくれよ!」



「いや俺は裏を抑えてたんだ・・・お前の後ろにいたのは俺じゃない・・・それに、たとえ俺だったとしても、お前は準備出来る前に一人で行ってたじゃないか・・・結果的に毎回上手く進んでいるだけで、直していこうって話したじゃないか・・・」




「じゃあ俺の後ろにいたやつは何を聞いてたんだ?察してくれよ・・・」




「まぁ今日はもういいじゃないか・・・相手が強かったのは事実だ・・・仕方ない・・・」




違う。そうじゃない。






心がそう言っている。もう俺にはチームの為に出来る事はないし、チームの為に何かをしたいとも思えない。どんどんFPSを嫌いになっていく。あの頃に戻りたい。純粋にゲームが好きだったあの頃に。




トウキョー・アスリート・ゲーミング頂天龍雅はプロゲーマーを辞めた。


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