畳ってすごく細かいね

 老人ホームへ父を迎えに行ってから4時間が経過。片付けやらトイレの世話やら食事やら洗濯物などで、気づけばほぼ休むことなく動き回っている。

 特にうんこがすごい。父・母・父の順で1時間に3回ケツ拭いた。今更ケツを拭くことに抵抗などないが、この波状攻撃には少し変な笑いが出た。こんなにポピュラーな作業だったかケツ拭きというのは。

 今後、デイサービスがない月・土・日曜日はこんなような修羅場になるのだろう。いや、今日は朝の注射と血糖値測定がないので楽だったと思った方がいいのかもしれない。


 痩せてしまう。大変すぎだ。


 また、あまりにも余裕がなくなっているせいか、水分補給を怠り足がつった。これは恥ずかしい。


 父のまず厄介な点は、昔ながらの「エアコンは体に悪い」「男は夏でも背広」という根拠なき思想に乗っ取られていることだ。

 30度を越えた13時、窓を開けたリビングで長袖のワイシャツを着込み、団扇で扇いでいるのを見て悲しくなった。多分体が動けば背広を着込んでいたと思う。なんかもう、かわいそうとしか言い表せない。


 しかし同じリビングには母がいる。頭の悪い暑さに付き合わされて倒れられたらもっと大変なことになる。昨日も書いたが優先順位が違うのだ。父の声でキャッキャキャッキャと鳴き喚くチンパンジーを無視して冷房をつけた。


 やっぱりイライラしてくる。そのストレスが胃を襲ったか、昼食を食べる気がしない。今後こんな生活が続いたらたまったものではない、痩せてしまう。


 今、和室に篭り、仕切りを少しだけ開けてリビングの様子を見ている。iPadを仏壇に乗せてこの日記を書いているのだが、気づけば俯きになっている。ただただ畳の目を見つめその細かさに改めて気づき、職人への賛辞を贈りたい気持ちでいるが、多分疲れ切っているがゆえの行いである。まばたきの回数すんごい減ってる。


 同情されたいわけではない。この日記を続けるのはただ単に「生きてる」ことの証である。ついでに言えば誰かしらに読んでいただいて笑ったり参考にしてもらえればこんなに嬉しいことはない。誰かしらが笑ってくれなければおれが勝手に仏壇の前で笑っていればいいのだ。


 文章の構成がおかしい。自分でも気づいているが修正ができない。暑さ等で脳みそが麻婆豆腐になって来ているのだ。この和室は西陽で目玉焼きが作れる気がする。

 いろいろ考える時間はある。なので想像するとつくづく背筋が寒くなるのだが、子供が3人くらいいる家って常にこんな緊張と疲労に包まれているのだろうか。もちろんかなたは望んで産んだもの、こなたは望まず病んだものという違いはあるが、感情を抜きにすると同じくらい大変なのでは。


 少しだけ頭がスッキリして来た。寝不足の末の幻覚だ。こうなると言葉がなかなか出てこず、この日記もここまで書くのにえらく時間がかかっている。現在わずか860文字。後日これを読み返して「ああ、あの時は大変だったからやたら書くのが遅かったな」などと自分を笑ってやりたい。

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