第十三話 家族
――煉獄の島 ノーラグベル・溶岩橋
◇クロナ
見て!!
ホントに溶岩の川が流れてる!
◇カイ
すごいな!
どおりで熱いわけだ
◇ノア
ふたりとも!
アランが教えてくれたことを
忘れたのか?
火山の噴火以来、
溶岩流のかさが増しているから
気をつけろと――
◇カイ
わかってるって!
◇クロナ
ここに落ちたら
助からないよね~
こわっ……
◇カイ
この川のどこかに
『溶岩橋』があるはずだよな?
◇クロナ
じゃあ、まず『溶岩橋』を
探さなくちゃね!
◇カイ
クロナ!
じゃあ、溶岩橋を
早く見つけた方が勝ちな!
◇クロナ
いいわよ!
受けて立つ!
◇カイ
よおーい……
◇クロナ
はじめっ!!
◇ノア
お、おい!
ふたりともっ……!!
◇アリア
ふふっ
◇ノア
なにがおかしいんだ……
◇アリア
あ、ごめんなさい
みなさん、
本当に仲良しなんだな、
って思って
◇ノア
兄さんは当然として
クロナも
もう家族のようなものだしな
◇アリア
家族……
◇ノア
?
◇アリア
……ノアさん
デイヴィさんって、
どんな方だったんですか?
◇ノア
そうだな……
僕の知っている父さんは――
子供のような人だった
◇アリア
子供?
◇ノア
ああ
『冒険が楽しくて仕方がない』
『マキナハンターとして
世界中を駆け巡っているのが
楽しくて仕方ない』――
そういう人だ
父さんは、ひとつの旅を終え
家に戻ってくると、いつも
冒険の話をしてくれた
僕も兄さんも、それにクロナも
父さんの土産話を
ワクワクしながら聞いてたものだ
◇アリア
では、お母さんは?
◇ノア
そうだな……
とても優しい人だった
だが――
同時に厳しい人でもあった
ふふっ……
◇アリア
?
◇ノア
僕は怒られたことがないが
兄さんと父さんは
よく怒られていたな
◇アリア
え?
お父さんも……ですか?
◇ノア
ああ
兄さんと父さんは
性格がとてもよく似ている
ふたりして
『面白そうなイタズラ』を
思いついては実行する
そして、そのイタズラは必ず
母さんにはバレるんだ
だから怒られる
◇アリア
…………
◇ノア
なぜかついでに僕も
怒られる
とても理不尽だ
◇アリア
ふふっ……
デイヴィさんを探して
旅に出てから3年でしたっけ?
里帰りはされたんですか?
お母さん、
心配されてるんじゃないですか?
◇ノア
…………帰れないんだ
◇アリア
え?
◇ノア
故郷の島には『掟』がある
『20歳になるまで
島から出てはいけない』という
掟だ
僕らはそれを破った
◇アリア
だから、帰れないんですか?
『掟』に背いたから、
罰を受けなくちゃいけないとか?
◇ノア
いや……そう言うわけでもない
島を、見つけられないんだ
◇アリア
?
◇ノア
――3年前のあの日
僕らは砂浜に打ち上げられた
父さんの船を見つけた
僕らが乗っている
あの船だ
その時すでに
父さんは行方不明になっていた
兄さんと僕、クロナは、
ボロボロの船に駆け寄って
父さんを探した
だが、父さんの姿は
どこにもない
僕らは、いてもたっても
いられなくなって
そのまま船に乗って海に出た
◇アリア
…………
◇ノア
どこか、近くの海で父さんが
漂流しているんじゃないか……
そう思ったんだ
我ながら考えが浅いというか、
無謀というか……
でも兄さんも僕も、
その時はそんな気がしたんだ
夢中になって島の周りを探した
そして、ふと気がつくと――
故郷の島がなくなっていたんだ
◇アリア
え――
◇ノア
それほど離れたわけじゃない
でも、探せど探せど
島は見つからない
僕らは……
帰れなくなってしまったんだ
その後のことは
もう話したな
◇アリア
はい
マキナハンターになって
『バカロレア』に出場して――
私が眠っていた遺跡で
デイヴィさんに出会った……
◇ノア
ああ……
だが、
どうして急にそんなことを聞く?
◇アリア
あ、いえ……
『家族』って
どんなものかなって――
……私にも『家族」が
いたのかなって思ったので……
◇ノア
…………
そうか……
◇クロナ
ふたりともー!!
◇カイ
あっちに『溶岩橋』を
見つけたぞ!!
早く来いよー!
◇ノア
はぁ……
今いくよ、兄さん!
行こう、アリア
◇アリア
はいっ!
To Be Continued……
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