第一章 煉獄の島 ノーラグベル -古代火の守り人-

ArkResonaノベルズ

第一話 少女の名は

――その昔、

アルカディアと呼ばれる理想郷があった


機械技術と魔導によって

支えられたその国は

長い間、繁栄を続けていた


しかし

それは突然終わりを告げる


魔導技術に溺れた人間達は、

ある時、空に大穴を

開けてしまったのだ


大穴からはたくさんの怪物と

それらを統べる魔王が現れ

アルカディアに向け進軍を開始した


魔王の軍勢は強く、大地は蹂躙されていき

困った人間は機械仕掛けの神を創りあげた


生み出された神は人々を守るため戦ったが、

それでも魔王軍の勢いは

止まることを知らない


必死の抵抗もむなしくついに魔王の魔の手は

アルカディアに届くところまで

迫ったのである


――そんな時だった


突然、8つの希望を携えし『賢者』が

大地の民を率いて表れた


機械仕掛けの神は彼らの希望と共鳴し

ついに、怪物と魔王を大穴の奥へと

押し出した


しかし、

力を使い果たした機械仕掛けの神は

その後――



********************



――煉獄の島 ノーラグベル・沖あい


◇????

――兄さん

この子、どうする?


◇????

どうするって言っても

起きてくれないと

話も聞けないし……


◇????

ねえ、まさかずっと

眠ったままじゃないよね!?


◇少女

(誰……?)


◇????

息はしているから

そのうち目が覚めるとは

思うが……


◇????

おーい!

起きてー!

お願ーい!!


◇少女

(呼んでる

私を?)


◇????

頼む、

目を覚ましてくれ


◇少女

(なんだか……

懐かしい声)


◇????

教えてくれ

キミは、誰なんだ――?


◇少女

(あなたは誰なの――?)


◇少女

んっ……


◇クロナ

あ!

目を覚ましたよ!!


◇カイ

おお、良かったな!


◇少女

え、えっと……

あなたたちは……?


◇カイ

俺は、カイ

で、こいつが弟のノアで

こいつは幼馴染のクロナだ


◇少女

カイさん、ノアさん……

クロナさん……


◇ノア

僕たちもキミに聞きたい

キミは一体何者だ?


◇少女

私……ですか?


◇クロナ

そう!

あなた、遺跡の奥にあった

マキナの中で眠っていたの


◇少女

遺跡……マキナ……?

なんのことですか?


◇カイ

まさか、なにも覚えていないのか?


◇少女

あ……

はい……


◇ノア

本当に!?

なにも思い出せないのか!?


◇少女

は、はいっ、何も……


◇クロナ

ちょっとノア!

落ち着きなよ

怯えてるじゃない


◇ノア

いや、すまない


◇カイ

名前もわからないのか?


◇少女

名前――


◇ノア

たしか遺跡で

『「アリア」の凍結を解除』と

いう声が聞こえたが――


◇少女

!!


◇クロナ

どうしたの!?


◇少女

アリア……

そう――


◇アリア

私の名前は

アリアです……!


◇カイ

そうか!

お前はアリアって言うのか!


◇ノア

ほかには?

『アライズ』については

思い出さないか!?


◇アリア

っ……

いいえ

ほかには、何も……


ごめんなさい……


◇クロナ

謝らなくていいよ!

ゆっくり思い出していこ、ね?


◇アリア

はい

ありがとう……ございます


◇リンジー

う~……


◇カイ

ん?

どうしたリンジー?


◇リンジー

どうしたジャありマセーン!


ワタシ

モ~お腹がスイて

お腹がスイて……


コノママジャ

お腹と背中が

ドッキングデ~ス……


◇クロナ

そう!

実は私も腹ぺこ~……


◇ノア

漂流して10日以上……

そろそろどこかの島に

たどり着かないと危険だな……


◇カイ

リンジー、動力マキナは

本当に直らないのか?


◇リンジー

手はツくしマシタよぉ……

でも完全にブロークンデ~ス

ほら!


これが取り外した

動力マキナユニットデス!


ウンともスンとも

ピンともポンとも

イイマセーン!!


◇ノア

キミが変な改造をしたから……


◇リンジー

No!

違いマース!!


これはオルティスから放たれた

正体不明のエネルギーと

大津波の影響デース!!


◇ノア

兄さん……

どうにかしないと

みんなここで飢え死にだ


◇カイ

そうだな

オールにできそうな物がないか

船室をもう一度見てみよう


漕いででも島を見つけるんだ


◇アリア

…………


◇クロナ

ごめんねアリア

せっかく目覚めたばっかりなのに

いきなりひもじい思いさせて……


◇アリア

……かわいそう


◇クロナ

かわいそう?


◇アリア

もっと、働きたかったよね……


◇カイ

アリア?

誰と話してるんだ……?


◇アリア

あ、ごめんなさいっ

独り言です……


◇リンジー

ああっ! もう!


マキナLoverとして

コンナコト

シたくなかったデスが――


オクのハンドデース!!

パンチ!!


◇ノア

リンジー……

叩いて直ったら

世話は――


な――!?


◇リンジー

Oh!

Miracle!!


ロンともチーとも言わなかった

マキナが動きマシタデース!!


◇カイ

ホントか!?

じゃあ――


◇クロナ

私たち、助かるの!?


◇リンジー

動いているウチに

スクリューに取り付けて

どこかの島を目指すデース!!


◇ノア

本当に今ので直ったのか……!?


◇カイ

この際、なんでもいい!

急げリンジー!!


◇リンジー

OKデース!!


◇ノア

ううん……


◇クロナ

ノア

難しい顔してないで!

私たち助かるんだよ!!


喜びなさいって!!


◇ノア

あ、ああ……


◇クロナ

アリアもお腹すいてるでしょ!?

もうすぐお腹いっぱい

食べさせてあげるからね!


◇アリア

は、はい


良かった……

動いて


◇ノア

…………



********************



◇クロナ

島だよ!!

島が見えた!!


◇カイ

やったな!

大きな島だ

あそこなら街もあるだろ!


◇アリア

あの大きな山は

火山……ですか?


◇ノア

火山……


と言うことは、

オルティスから流された方角と

時間を考えて――


◇ノア

あれは『煉獄の島

ノーラグベル』だな


◇カイ

ノーラグベル……!



To Be Continued……

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