新人戦開幕
次の日、オリビアとクシェルとデュランは控え室にいた。その顔は暗く、浮かない顔をしている。
「……みなさん、気持ちは分かりますが、やるからには全力で勝ちましょう」
クシェルがみんなを励ます。しかしクシェルもカラ元気で内心は喪失感でいっぱいだった。
「……そうね、やるからには勝たないと。負けたりしたらガゼルに笑われるわね」
「そうだな、今の俺達にできることは勝つことだけか」
三人とも気になることは山ほどあったが、気持ちを切り替えて競技へと臨んだ。
新人戦最初はシュート・ブレイク。クシェルの出番だ。
クシェルはガゼルとの練習を思い出していた。
『いいか、魔法の精密さを上げるにはとにかく練習あるのみだ。それに威力も大切だぞ。イメージとしては溜めた水を一気に放出する感じだ』
ーーーーーガゼル、私やるよ。絶対優勝してみせるから、見守っててね。
クシェルは新人戦で初のパーフェクトを叩き出した。
「やったわねクシェル。凄かったわ」
控え室に戻るとオリビアが声をかける。先程よりも少しは明るくなっているようだ。
「ガゼルのアドバイスを意識してたからね」
「そうね、アタシも練習付き合ってもらったんだし頑張って勝ってみせるわ」
新人戦、この三人が出場した競技は全て優勝だった。
「どういうことだ!?」
とある一室で男が怒鳴り散らす。
「なぜ妨害がおこらない!?」
男は黒髪の女に尋ねる。
「おかしいですね。パワー・ブレイクではディアフォード魔法学園側のマトを壊れやすく細工し、バトル・ロワイヤルではオリビア選手の足元に魔法を仕込んでおいて、始まった瞬間気絶するようにしておいたのですが……」
「では何故事故が起こらなかったんだ!?」
「………もしかしたら、私たちの存在に気づいている者がいるのでは………」
その一室を上から見下ろす人影があることには誰も気づかなかった。
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