模擬戦
オリビアとの模擬戦をうけることにしたオレは、訓練場に来ていた。
「おいおい、首席と次席が模擬戦するんだってよ!」
「マジかよ、見に行こうぜ!」
訓練場の周りにはギャラリーが集まっていた。
よく見れば先生方も見に来ていた。
まさか、オレを魔王だと疑っていて、様子を見に来たのか?
本気は出さず、無難に勝つのがよさそうだな。
オレは剣を構えオリビアと向かい合う。
「いい?どちらかが戦闘不能になるか、負けを宣言するまで続けるわよ!」
「分かったよ、ったく、仕方ないな。このコインが地面についた瞬間にスタートな」
「分かったわ」
オレは親指でコインを弾く。
周りのギャラリーは
キンッという音と共に、戦いの火蓋は切って落とされた。
《火魔法》
オリビアが左手をオレに差し出すと火柱がオレに向かって襲いかかってくる。
オレは火柱が届く前に左手を差し出すと魔法陣を《
続けてオリビアは《
それらをオレはことごとく《
オリビアは一旦策を練るため攻撃をやめる。
今度はオレから仕掛ける。
《土魔法》
土が体にまとわりつき、動きを拘束する魔法を放つ。
オリビアの周りに魔法陣が現れる。
それをオリビアは
そう思っていると、今度はオリビアがこちらに跳んでくる。
その手にはいつのまにか剣が握られている。
接近戦を仕掛ける気か。
オレも剣を握りしめてオリビアの剣を受ける。
ギンッと甲高い音が鳴り響く。
オレはひとまず距離を取るため後ろに跳ぶ。
後ろに設置型の魔法陣の気配に気づき、《
オリビアの勢いは衰えることなくこちらに向かってくる。
オレはさらに距離を取り、後ろに跳びながら魔法を放つ。
《水魔法》
大量の水が洪水と化して襲いかかる。
オリビアは障壁魔法を球体に展開して、そのまま水の中を砲弾と化して突っ込んでくる。
オレは水の中に火弾を打ち込む。
水が水蒸気に変わり、あたりを覆い尽くす。
オリビアは霧の中に人影を見つけると後ろから忍び寄り、首筋に剣を当てる
「アタシの勝ちね」
首筋に剣を当てられオレは両手をあげる。
その時、オリビアの後ろから声がする。
「
オレは後ろからオリビアの首筋に剣をあてる。
「な、何でアンタが二人…」
「それは土で作った分身だ」
両手をあげたオレは土くれになり、ボロボロと崩れ落ちた。
オリビアは観念したように両手をあげた。
「ま、参りました」
オリビアは悔しそうに、でもどこか清々しい顔でオレに手を差し出してきた。
「負けたわ、流石は学年首席ね、ガゼル」
「お前こそ、かなり強かったな」
オレたちは、手と手を取り合って握手した。
実際には、実力はほとんど出してないが、オリビアが納得してくれたならそれでいいだろう。
オレたちは訓練場を後にした。
「面白い」
ギャラリーのなかで笑っている人影があることに、二人は気づかなかった。
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