人間の家族
気がつくとそこは、知らない天井だった。
どうやら転生には成功したようだ。
オレは体を動かそうとしてみるが、動かない。
手足の感覚はあるんだが、動かそうとしても意思に反して動かないのだ。
魔力回路を制御して筋力をパワーアップさせ、なんとか立ち上がった。
自分の手を見てオレは驚いた。
手の指がピーナッツほどの大きさしかないのだ。
そうしてオレは理解した。
(転生してるけど、人間の姿になってる)
手をグーパーして戸惑っていると、人間の女が近づいてきてオレを抱き抱えた。
何をするつもりだ?
「さぁ、ゼルちゃんお乳のじかんですよー」
女は服をまくりあげ、2つの突起を近づけてきた。
なんだか無性にその突起を吸いたくなった。
欲望には勝てず、突起を力の限り吸った。
(っ!?)
オレは夢中になって吸い続けた。
(う、うまい!?なんだこの飲み物は?丁度いい温かさに濃厚でクリーミーな喉ごし。今まで飲んだどの飲み物よりもうまい!)
お腹いっぱいになると、幸せな気分になっていた。
そのまま眠気誘われるがまま眠りについた。
目を覚ますと夜になっていた。
上半身を起こし周りを見渡すと女の他に人間の男が1人増えていた。
男はこちらを見ると、近づいてきて、
「ただいまガゼル。お父さん帰ってきたぞ〜」
そう言うと、オレの頭を優しく撫でた。
そこでようやく理解した。
(こいつら、人間の夫婦とかいうやつか。つまりオレはこいつらの子供…)
オレは人間の夫婦を見て、悪魔の頃の親たちを思い出していた。
悪魔は胃が退化、いや進化しているので食べ物を食べる必要がなく、魔力さえあれば生きていける。
生まれながらにズバ抜けた魔力を持っていたオレは、放っておいても死にはしないと子育てというものをされたことがない。
幼少期のころは1人寂しい時間を過ごしていたのだ。
この2人を見ているとそんな記憶を思い返していた。
「さぁガゼル、ご飯にしよう」
人間の夫婦を見てガゼルは、悪魔たちにはない温かさを感じていた。
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