第4話 姫さまと行商人3

にやり。


私と、行商人の視線が一瞬合います。


(こやつ、なかなかやりよる!)



「おや、姫様、確かにこれはとても貴重な逸品ですが、聡明な姫様にはお見せできそうにもなく残念に思っておりましたが……見えるのですか?」


姫様の顔がみるみる紅潮し、リンゴみたいになっていきます。


ああ、姫様アップルかわいい!


「な、なな何を申すか、ぶ、無礼者! わらわは何もみ、見えてないもん!」


もん! いただきましたああぁぁぁ!


「み、見えぬから、もっと近くで見せいと申したのだ! は、早くせぬか!」


「かしこまりました。では、試しにお履きになられますか?」


「よ、良いのか!」


「もちろんでございます」


行商人が美しく輝くガラスの靴を差しだすと、嬉々として受け取る姫様。


「ほおぉぉ、これは美しい。どうじゃセバスチャン!似合うておるか!?」


それはもう大変お似合いでまぶしくて見れないくらいなのですが……


「姫様? 私には姫様が突然裸足になられたようにしか見えませんが……」


「は、はうっ! そうであった! 何も見えんよな!」


そう言って頬を膨らませ、そっぽを向く姫様。

わあああかわいいいい!


「わ、わらわには何も見えぬが……まったくもって見えはせぬが! これは聞けば貴重な逸品と聞く。このような物は我が王宮でしっかりとあずからせていただこう。良いな、行商人よ」


台詞とは裏腹に、涙目になりながらも献上品をしっかりと所望する姫様超かわいい!

ヒメカワ!


「もちろんでございます。よろしければまたいろいろな珍しい品物をお見せいたしますよ」


ニヤケ顔で答える行商人。

姫様に見えないようにお互いサムズアップを交わす。


「も、もう来なくてよいわ! うわああんん!」



そう、ミラ姫さまに謁見を望む者の大半は、姫様のかわいさ見たさにいじりに来る者で占められている……いわば私の同士のようなもの。


ピューっと小走りで奥に下がった姫様を見送りながら、今日も私セバスチャンアリ・フレータ王国の平和を噛みしめるのでした。



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このお話しは基本的に姫様をいろんな人間がいじり倒すお話です。

お付き合いいただけると嬉しいです。


この後の展開希望も受け付けますので、何かありましたらお願いします。

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