第10話 石材採集と運搬経路創造 5日目(夕)

 ビッグウィングタイガーの本来の名前は森林獅子と呼ばれている。

 なのでシシという名前を付けると、緑色の毛を逆立ててとてもうれしそうにしてくれた。


 他の50体のウィングタイガーにも名前は付けたいが今やる事があるので、名前を付けることはしなかった。


 あとレベルが8になる事で2つのスキルを覚えることになった。


【司令官】【創造製作】というスキルだった。


 肩の上には先程まで猫じゃらしとマタタビ合体物質にじゃれまくっていた魔法猫のティータさんが説明してくれる所によると。


「まずは、司令官というスキルなのだがにゃ、これはテイムしたモンスターに命令を与える事が出来にゃ。例えばお主が拠点としている場所からここまで命令する事が出来るというものだにゃ」


「なるほど」


「創造製作は頭の中のイメージにともなって手が自動的に動き、物体を作る事が出来るというものにゃ、お主が別世界の住民ならではの知識を応用すれば、それはそれはいいものが作れるだろうにゃ、さて森林獅子とその配下50名を仲間にしたのだから、おぬしの工夫次第では、石を運ぶことだってできるのではないのかにゃ?」


 魔法猫はこちらの頭をぺろりと舐めながら、不思議そうにあたりを見渡している。


 俺様の周りにはグリドリーとグマドリーとシシとその他50体がいるのだ。

 これだけあれば、確かに石を運べるだろう。


「みんな少し自由にしてくれ、あらかた準備が整ったら連絡する」


 テイムされたモンスター達はそれぞれの鳴き声を発して散っていく。


 俺様は色々と考えるべく、近くにあった森を歩いていた。


 どうやらウィングタイガー達の根城となっていた事もあり。

 他のモンスターや魔物や獣すら近づかない場所になっていたようだ。


 あれほど自由行動といったのに、グリドリーとグマドリーは俺様の後ろを付いてくる。


 こちらと目があうと、にやりとほくそ笑むだけだった。


 そんな時、雷で倒された木々が蔓に絡まってぐちゃぐちゃになっている所を見つける。


 頭の中で創造製作が自動で作動した事を悟った。

 それから俺様はそのスキルの赴くがまま動くことにした。


 まず伐採スキルを発動する。

 右腕と左腕が鎌のようになると、木々を両断しまくる。

 ある程度の大きさにすると、絡まった蔓を草刈りの爪状になった両手で綺麗に引きちぎる。


 あとは丸太を蔓で思いっきり縛り上げる。

 それを数分繰り返す。

 そのソリみたいなものにアイテムを乗せて、移動出来るようにした。


 ソリの紐の代わりとなるものは蔓そのものだ。


 厳重に丸太同士を縛り、引っ張る部分は引きちぎられないように、複雑な縛り方をした。



 グリドリーとグマドリーは不思議そうに見つめている。


 ちなみに魔法猫は俺様の肩でじっと見ている。


「お主考えたな、それならウィングタイガー達にも運ばせる事が出来るだろうにゃ」


 それから俺様は木々を伐採しまくる事にした。

 あのソリの紐の代わりになる植物は、魔法猫が探してくれた。

 この森にある蔓はとても頑丈で、そう簡単には引きちぎれないものだとわざと引きちぎろうとして理解した。


 グリドリーとグマドリーはじっとこちらを見ている。

 何かを学ぼうとしている視線だった。


 熊って意外と頭がいいものなのだなって思うようになった。

 でもこの2体は普通の獣ではなくて、巨大熊というモンスターである事を忘れてはいけないと。


 この時の俺様は感じていた。


 伐採スキルの驚異的なパワーにより、あっという間に大量の木々が両断される事となった。


 あとは伐採した木々の丸太たちを運びやすいように分離させたりした。


 それを隣同士にして蔓で縛っていく。


 その行程を10通り繰り返した。

 2時間くらいの時間を要した。


 それは縛るという行程はとても複雑であり。

 手抜きなどしようものなら、ウィングタイガーたちに怪我をさせてしまうだろう。

 その為に本気で蔓で縛り上げていく必要があった。


 丸太たちは合計10個のソリとなった。

 普通のソリの6倍くらいの大きさだ。

 そこに沢山の石材を乗せて運ばせる。


 いきなりウィングタイガーに運ばせて、獣人熊のタグマさんとその他の巨大熊たちに驚かしてしまってはいけない、そう思うと、俺様は司令官というスキルを試してみる事にした。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る