第六話 ウィルゲン大佐

◇ウィルゲン

カイ・ロストマン――


◇カイ

!?


◇ウィルゲン

ようこそ、オルティスへ

そして『バカロレア』へ


お前がここにやってくるのを

楽しみにしていた


◇カイ

どういうことだ……?

っていうか、おっさん誰だ?


◇ノア

兄さん、知らないのか!?

ウィルゲン大佐だよ!


◇カイ

ウィルゲン大佐?


◇クロナ

ごめん、ノア……

私も知らない……


◇ノア

はぁ……ふたりとも……

この人はエイジス帝国の英雄、

そして──


帝国遺跡管理室の長官だ!


◇カイ

そんな偉いやつが

どうして俺を?


◇ウィルゲン

ついてきたまえ

ゆっくり話をしようじゃないか


◇カイ

…………



********************



――帝国遺跡管理室本部・とある部屋


◇ウィルゲン

ロストマン氏……

いやデイヴィとは友人でな


俺は、遺跡やマキナを管理し

マキナハンターを

管轄することが仕事だ


かたやデイヴィは

世界に数人しかいない

『グランドハンター』のひとり


当然、俺たちは何度も

顔を合わせるようになった


そのうちに

意気投合したんだ


彼が10年もの間、姿を現さず

失踪状態になっているのは

きっと事情があるはずだ


なにか……きっと……


◇ノア

大佐……


◇ウィルゲン

……あ、いや失礼

つい感傷的になってしまった


やはり君たちも、

デイヴィの行方を

探すために?


◇ノア

僕らは3年前──


故郷に島の浜辺に

父さんの船が漂着しているのを

見つけました


……本当は、20歳になるまで

島を出てはいけない

決まりだったんですが……


◇ウィルゲン

いても立ってもいられず、

島を出た……と

そういうことか……


◇ノア

はい


◇ウィルゲン

彼の、行方を探すために……


◇カイ

いや──


◇ウィルゲン

ん?


◇カイ

確かに、

父さんの行方を探す……

それも旅の目的の一つだ


だけど、俺たちの目的は──


『父さんを超える

世界一のマキナハンターに

なること』


◇ウィルゲン

ほう……


◇カイ

それに、父さんには必ず会える


俺たちが

世界一のマキナハンターとして

名を馳せたらな!


◇ウィルゲン

なるほど

父を超える……か


お前たちの実績を

見せてもらったよ


確かに、その年齢としては、

すこぶる優秀だ


さすが、彼の息子たち……と

言ったところか


◇カイ

だから大佐!

俺たちに特例を認めてくれ!


◇ウィルゲン

お前たちの父親に認めたのと

同じ特例を……か


◇カイ

ああ


◇ウィルゲン

ふむ……


バカロレアは

試験とはいえ真剣勝負だ……

ただでさえ命の危険がある


危険度は尋常ではない

その覚悟は

できているんだな


◇カイ

あたりまえさ

俺たちは、父さんを超えるんだ


父さんにできたことぐらい

できなくちゃ


デイヴィ・ロストマンを

超えられないだろ?


◇ウィルゲン

…………ふ


ふはっはっはっはっは!!

その心意気、気に入った!!


帝国遺跡管理室の長官としては

正直な所……


お前たちのような

若い優秀なハンターを

過度な危険に晒したくない……


だが、友の息子の心意気を

無駄にはできんな


お前たちの

バカロレアへの

参加を認めよう!


◇カイ

ありがとうウィルゲン大佐!!


◇ノア

やったな

兄さん!


◇クロナ

絶対優勝しようね!

カイ!!


◇カイ

ああ!!



********************



バカロレア当日――

――エドワルドコロッセオ


◇カイ

いよいよだな!!


◇クロナ

参加者もお客さんもいっぱいで

すごい熱気だね!


◇司会者

バカロレアにお集まりの

紳士淑女の皆さん!

4年ぶりにごきげんよう!


マキナに夢見る命知らず達……

『マキナハンター』が

今回もここに集結!!


さあ、300年の歴史を誇る

夢の祭典『バカロレア』は

間もなく開幕です!!


今回はこの輝かしい闘技大会を

の幕開けを飾るに相応しい方が

お越しになっています!!


ジェイラス・フォン・

ブルクハルト閣下~~~~!!


◇ノア

えっ!?

ジェイラス様が来てるのか!?


◇カイ

誰だ、それ?


◇ノア

若くして数々の

魔導書や研究書を発表している

魔導博士にして──


エイジス帝国主席魔導師に

上り詰めた人だよ!!


◇クロナ

すごい偉い人が

いっぱい来てるんだね


◇ノア

ジェイラス閣下だ!!


◇ジェイラス

忠良なる帝国臣民の皆さん……


今日ここで、新たな英雄の卵が

誕生する事実に

僕は高揚を抑えきれません……


マキナハンターたちよ!

栄光を掴むのです!!

そして――


悠久なるエイジスの歴史に

名を刻みなさい!!


帝国主席魔導師

ジェイラス・フォン・

ブルクハルトが――


『バカロレア』の開催を

ここに宣言します!!


◇観客達

わあああああああああああああ

ああああああああああああああ

ああああああああ……!!!!


◇クロナ

ついに始まるんだね……!


◇ノア

兄さん、

これからが本番だ


◇カイ

ああ!


必ず優勝して

ゴールドクラスになる!

そして――


いつの日か

グランドハンターに――


父さんを超えるために!!



To Be Continued……

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