第26話 またもや船さがし
とりいそぎアメリカから帰国して目当ての船を見に行ったのだが、やはり写真では全てがわからない。見せていただいた船は私の予定している船とは大きく違っていた。なんのためにアメリカから飛んで帰ったのか。今ひとつよくわからなくなったがそれは仕方がないだろう。
そこでいろいろな船を見に行くことにした。もう、とりあえず経験するしか方法がない。
私は北九州にすんでいるが遠くでは天草や大分まで船を見に行ったこともある。天草にも10万の船はなかった。いろいろな船を見ていろいろな話を伺って一つとても驚いたことがあった。それは船はとても燃料を食うということだった。私は車と同じぐらいだと思っていたがとんでもない。船はちょっと大きな船だと一日に200リットルぐらいの燃料が必要らしい。天草で見せてもらった28フィートのクルーザーは
「そうですねえ。一日がんがん乗り回したら100リッターぐらいですかね。」
「100ですか。ええと、ガソリンだったら140円かける…ええと14000円」
「そうです。それぐらいでしょうか。」
14000円。その言葉は耳にはいってはきたが私の心はもうここにはなかった。14000円。一回釣りに行ったら釣り具も餌もいるだろう。つまり簡単に二万円が飛んでいくわけだ。月に4回釣りに行ったら8から9万円程度かかる計算になる。ボートハウスのおっちゃんの声が遠くから聞こえるやまびこの様になり目の前の景色がぼんやりと霞んでいる。
とても維持できそうにない。
「はあ、あんたねえ。ほんとにばか!普通子供でも自分がほしいものの値段とか調べてから動き出すよ。」
たしか家内はこう言っていなかっただろうか。家内はいつも正しいことしか言わないなあ。
わたしはしょんぼりとうなだれて天草を後にした。天草から熊本にフェリーで渡ろうと調べたが、ない。なんと天草のフェリーは数年前に廃業していた。船を見に来て船に振られるとは。先行きが思いやられる。
そうこうしているうちに知り合いの漁師から電話が入った。親戚のじいさんの船を格安でやるというのだ。私はすぐに彼のいる港へ行くことにしたのである。
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