第9話 船の選定
免許の会社に申し込みをしたその足で現場に行く道のりをちょっと変更していくつかのマリーナを回ることにした。いわゆるマリーナ巡りである。博多湾の西区にはいくつかのマリーナが存在し船の上架と保管、中古艇や新艇の販売を行っている。時間がないので足早ではあるが見て回る。
スズキのフィッシャーボートは20ftで新艇150万というのがあることがわかった。これ以外の装備としてGPS魚探、装備備品(アンカー、ロープ、救命胴衣など)、必要ならオーニング(屋根ですね)や油圧ハンドル、船灯などが必要となるらしい。それらをすべてそろえるとやはり300万円近くの出費になる。そんな予算はない。
だめもとでマリーナの人に聞いてみる。
「あのですね。船を探しているんですが。はい。中古艇です。」
「はいはい。予算はいくらぐらい?」
「10万ぐらいでないですかね?」
「10万!!…いや、さすがにその価格では。」
「…ない?」
「はい、聞いたことないですね。」
もしあったら買おうと思って10万円もってきた私がやはり馬鹿だった。今更のように家内の昨日の言葉が胸に刺さる。
「はあ、あんたねえ。ほんとにばか!普通子供でも自分がほしいものの値段とか調べてから動き出すよ。」
たしか、家内はそう言っていなかっただろうか。やはり家内はいつも正しい。
「10万だと…そうですねえ。沈没船でもないと思います。」
「沈没船!!!ってことは海の中にあるんですか?」
「いやいや、さすがに引き上げてはいますが、沈没してエンジンがだめになって清掃するまえのどろどろの船でももうすこししますかねえ。」
「そうなんですか。はあ。」
いろいろ話を伺うとだいたい中古の船はエンジン代金と等しいということが分かってきた。船が新しくて船の価値がある場合はエンジン代金に船の価格がプラスされる。新品のエンジンはだいたいであるが1馬力1万円。つまり、60馬力だと60万円。それプラス船体価格が上乗せされるらしい。
「海の上でエンジンが動かなくなったら、死にますよ。」
「そうですねえ。確かに。」
「エンジン、大切なんですよ。命を守るってことを考えるとエンジンをおろそかに考えちゃいけません。」
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