第三十六話――時空断絶刃(アマルティア)
ブリーゼによって完全に精神を乗っ取られたサーマとユリウスは、まるで長年背中を預けて戦った
「神法『
サーマの灼熱の巨大な光線が、フロセルビナに襲いかかる。
しかしありとあらゆる原子は神装『
「ダメですよ、サーマ。眩しくて仕方ありませんわ」
彼女に見えている光は、
視界すべてを
フロセルビナは
たとえ眼をふさがれようが、彼女には世界で起きているすべての出来事が見えるのだ。
「あら?」
フロセルビナが気づいたのは、サーマの
ユリウスが、いつの間にかフロセルビナの背後に移動していたのだ。
「隙あり」
すべての
「
核攻撃すら無効化するブリーゼの
すべての魔法をいともたやすく破壊する七色に輝く聖剣が今、フロセルビナの
「無駄でございますよ」
――できなかった。
「ギャアアアア」
ユリウスがフロセルビナを背後から奇襲した直後、彼の剣を握る右手がいきなり切断された。
「グワアアアアアア」
天使と違って肉体再生能力をもたないユリウスは、苦悶に顔を歪め、喚き続けた。
「うるさい⭐︎ ――『
フロセルビナが呪文らしきものを唱えると、ユリウスが分離した右腕ごと一瞬で巨大な氷塊に飲みこまれた。
「貴方には、まだ死なれては困るのですよ」
ブリーゼには、フロセルビナが何をしたのかがわからなかった。
人間を周囲の大気ごと氷結させるなど魔族や人間でも可能である。
問題は、その前。
何もせずにいきなり人間の腕が切断されてふっとぶ、なんてことがありうるだろうか?
魔法の素人ならともかく、ブリーゼほどの大魔道士ともなれば、魔法(天使はそれを〈神法〉などと呼んでいるが)が使用されれば
しかしフロセルビナがユリウスの腕を切断した時、どんな微弱な魔法反応もなかったのだ。
「貴女にも、おとなしくしててもらいましょうか」
フロセルビナが、サーマに視線を向けた瞬間――
――サーマの身体が、バラバラに切り裂かれた。
無数の肉片と化して、やや桃色がかった鮮血の雨とともに地面に墜落する、サーマだった
まただ。また何の前触れもなく、バラバラに。
まさか、と、ブリーゼの顔に、初めて浮かぶ――焦燥。
「お気づきになりましたか。
フロセルビナが居合斬りのように右手を真横に一閃すると――
ブリーゼが背後の岩ごと、真横に微塵切りにされた。
「幻惑魔法と知りながら、演出のためにあえてわざと
いつのまにか背後にいたブリーゼに対し、フロセルビナは余裕の笑みを崩さずにそう言った。
ブリーゼの手には漆黒の光の剣が握られており、それはフロセルビナの背中に突き立てられていたはずだったが――
すでに展開されていた
「無駄でございますよ。サーマやユリウスと違い、私は
天使長フロセルビナの顔にまるで悪魔の如き邪悪な笑みが浮かび。
「私に認識された時点で、貴女様の死は確定事項なのでございます♪」
ブリーゼの身体が、サーマ同様バラバラに切断された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます