第三十三話――最後の魔法
「クックック……無様だナァ〜、
堕天男の腹を貫いた社会人精神注入棒を、
しかし――
堕天男の右手から、徐々にドス黒い渦が、噴出する。
「お〜? 何だ〜? まだ元気かァ〜?」
デカトリースはさらに乱暴に棒を動かし、堕天男の
「オ……ゲ……テメェ」
口から、鼻から、耳から、そして眼からも
最期の力を振り絞り、デカトリースの首根っこを掴む――
「何だァ〜? この手は。お前は自分の立場が……」
力いっぱい棒をこねくり回し、堕天男の血と臓物を根こそぎ地面に撒き散らしてもなお、その右手に込められた力は失われない。
堕天男はまるでホラー映画に出てくる亡霊さながらにクワッと眼を見開き。
おそらくは人生最期となる言葉を、放つ――
「『
詠唱の直後。
堕天男の右手から
「グワアアアアア――ッ‼︎」
デカトリースの顔面から徐々に全身を侵食!
そのまま彼を闇の彼方へと葬り去ってしまった……!
「へっ……ザマァ……」
最期の力を振り絞って仇敵を抹殺した堕天男は。
そのまま気を失い、独り地面へと倒れ伏し。
ついにその生命活動を、停止した――
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