商売の鉄則その四・情は大事、金はもっと大事
前回までのあらすじ。
「山賊から力ずくで女をぶんどって奴隷にした」
うーん血筋を感じますねぇ!コルナタのおじいさんの時代を思い出します。
コルナタのおじいさんはガチ蛮族でした。
脳筋だったし実際筋肉で全て解決してみせたからタチが悪い。
おまけに女癖も悪い。もらった金は糸目を付けず女奴隷購入に注ぎ込んで、ついに自分の一族の里を作ってしまった。
そうやって際限なくずこばこしまくった結果見事子孫繁栄し、数えきれないくらい生まれた孫の一人がコルナタ。
小さい頃から体を動かすより本が好きな子でしたが、実は生まれながらの剛力でありこの度鉄塊の巨剣を手に入れて眼鏡のインテリ商人から眼鏡のインテリ暴力商人にクラスチェンジしたところ。
「コルナタ。食糧を買い足しましょう」
「そうですね。人が増えたので保存食の比率も変えなくては…」
「なら、私に任せてくれない?この際だから一度買い出しの要領を作っておきましょうか」
「なるほど…では、僕も行きます。責任者ですから」
「そう?じゃあ逢引ね。楽しみにしてるわ」
「……」
そんなコルナタですが、現在奴隷に困らされています。
今の世の中腕力などあったところでなんの役にも立ちません。必要なのは如何に恥を捨て人に甘え頼り寄りかかり上手く利用できるか。
迷惑をかけるという行為が上手い人間ほど賢く幸せに生きられるのです。
この大戦争時代末期においてもその傾向は顕著でした。
手に入れたばかりの奴隷、元山賊団頭領にして前頭領をはじめとした幾人もの男を獲物として刺殺してきた危険人物フィアナ。
彼女は奴隷としてコルナタの商品となったわけですが、あっさり管理下から外れた。
もう一人の売れ残り奴隷、エナと違って自発的に役に立とうとする。
コルナタからすれば慣れない旅の相談相手として悪くない相手ではあるのだが。
「…あの、フィアナさん」
「何?」
「未熟者故に不満はあるかも知れませんが…あなた方の管理者としてできる限りを尽くすつもりです。なのでその…」
「私の助けは、いらない?」
「意見は、極力お聞きします」
「私は、邪魔?」
「あの…」
「捨てないで?」
「はい…」
今日もダメそうです。
何の文句もつけてこない代わりに無気力なエナと違ってこれはこれでやりにくい。
と言うか。
「これでは僕の奴隷だな…」
部屋は与えたが寝るのはもっぱらコルナタの寝台。
拒否すると機嫌を損ねて「次の町で路上娼婦になる」と拗ねるし、かと言って迎えては同じような歳頃とは思えないほどの美人がお色気をバチバチに放ったまま寝ているしいい匂いもするのでこっちが眠れない。
料理もしたがる。でもあまり上手くないので一緒にするが、そんなに広くない台所ではあれこれ当たりまくる。十中八九「当ててんのよ」である。
その他コルナタがしている仕事を目敏く捉えては次の機会にそれをやりたがる。
何分覚えがいいのですぐに要領を掴んでしまうし質問を目的にかなり近付いてくる。かなり薄着で。
これについて指摘すると今気付いた、みたいな顔をして表情に陰を落としながら、
「ごめんなさい、はしたないわね…あそこでは、ずっとまともに着ることを許されなかったから…」
と昔の話を持ち出しては追及しづらい理由を作る。
悪女だ。
コルナタ。未だ女を知らぬ少年には、元性奴隷の悪戯は嬉しいと言うより負担であった。
さて、肝心の奴隷商売の方ですが、これもさっぱりでした。
「畑広げるのに男が山ほど欲しいんだが」
「村を守るのに男が山ほど欲しいんだが」
「山で木を切るのに男が山ほど欲しいんだが」
コルナタは激しく自分の力不足を責めました。
「奴隷商売と縁のない、大きな街から離れた場所を巡ろう」
という指標が間違いだったようで、南の港国のとてつもなく広い影響下にある田舎はどこも景気がいい。必要なのは肉体労働の働き手。
コルナタが扱う女奴隷はいまいちウケが良くない。
悪習野郎と石を投げられなかっただけマシだと考え直し、一旦方向性の舵を切ることにしました。
「もうじき着くのは小さな村落だそうですが、そこから先は少し足を伸ばして大きな街へ行きましょうか」
「…まあ、いんじゃない?」
「私も賛成。奴隷商人って思ったより大変なのね」
「ええ…ですが、必ずお二人が新たな人生を歩み出せる場所を見つけてみせますよ」
着いたのは、あるいは立ち寄ったのは川のそばにある村でした。
周囲は平原、近くに山があり下流にもそれなりに大きな町があるとか。
「…?」
「ほっほ。驚くのも無理はないじゃろうなぁ」
一応奴隷商人として村長に面会したところ、村の特徴を聞いてコルナタは首を傾げていました。
「あの…浅学の見方ではありますがこの村は…もしかして、すごく発展に適した場所にあるのでは?」
「ほっほ。まあの。じゃからわしのじいさんたちはここへ村を拓いたんじゃ」
「では、何故…」
「なんかのう、出んのじゃよ」
「え?」
「やる気が出んのじゃ。だもんでみんな今の暮らしに満足してなーんもせん。まあ最悪適当に釣りでもしとれば暮らせるしのう」
「ええ…?」
「上手いことええとこを見つけたまでは良かったんじゃがのう。良すぎたのう。ほっほっほ」
「ええー…?」
「じゃから働き手もいらんわい。やる気が出んからのう」
「そう、ですか…」
村を見て回ると確かにのんびり糸を垂らす釣り人がいたし、世話をする畑はそう広いわけではなく、治水設備も古いながらしっかりした出来で毎日ちょっとずつ点検すれば済むとのこと。話を聞いてみれば下流の町と交流がないではなく、この村で作れない(作るのがめんどくさい)酒を調達しに行き、日が暮れれば集会所へ集まり適度に酒を飲み適度に騒ぐ。
旅を始めてやっと三ヶ月。
一人でこっそりお祝いなんかしたばかりでしたが、コルナタはさすがに心折られかけました。
世の中、案外充足しているのかもしれない、と。
目の前に広がる肥沃な平原を耕すでもなく、お誂え向きに近くにある山から木や石を切り出すでもなく、川で繋がる下流の町と商売するでもなく。
人は、幸せに暮らせるものなのだ。
商売の街たる南の港国で育ったコルナタにはにわかに信じがたい場所でしたが、よく考えると自分の実家なんてど田舎の山に囲まれた盆地だったし村どころか里だったがそこで何かに不自由した覚えもない。歳取って落ち着いた祖父が集めた本もたくさんあった。
人の豊かさとは、商売による充足とは違うところにあるんじゃないか?
人の幸せとは、こんな風に日々慎ましくも余裕ある生活を送ることなのでは?
コルナタ。未だ酒の味をも知らぬ少年には、楽園の存在は少しばかり刺激が強かった。
「ばかだな…生真面目なくせになんにでもすぐ影響される…」
村へ滞在して三日目の朝を迎えた。
当初は食糧だけ補給してすぐ旅立つつもりだったのですが(水は何故かいつでもある。まるで水道設備の整った街にいた時のようだ。…これだけで商売ができるのでは?)、それはまたも悪女であるフィアナから放たれた言葉が原因だった。
「ねぇコルナタ。ここはいいところね」
「そうですね…みんな心穏やかに日々を過ごし、不自由を感じることなく暮らしている」
一日目の夜。若い旅人の無事を祈らせてくれと言われ、急遽開かれた酒宴に二人の奴隷を伴っていったところ村の大人総出で大歓迎された帰り道。
普段は自堕落になろうとでもしているのか、昼寝をしては食が細いなりに食事だけ懸命に食べ、を繰り返すも食後は馬車の後ろをゆっくり歩くなど適度な運動をしてしまう健康無気力売れ残り女であるところのエナが予想外の酒豪ぶりを発揮。
したのはいいが結局眠ってしまったので今はコルナタがその軽い身体を背負っている。
フィアナはと言うと、どちらかと言うと健啖ないつもと違い慎ましやかにちびちび料理をつまんでは、村人たちの独特な踊りを見てころころと上品に笑いながら楽しんでいた。
服装も持ち込んだ中で一番布面積の多い地味なもの。
そうしておとなしくしているとまるで、田舎の大家の若い奥方のような。
「ねぇ、コルナタ」
「はい?」
「この村に住まない?」
「…え?」
それは、何気ない世間話の時と特に変わらない声で発せられてコルナタを揺さぶった。
「作物がよく育つ土地に、よく釣れるお魚は美味しかった。よそ者にも優しいし、食べるには困らないから山賊なんてするまでもない」
フィアナの方を見下ろす。表情は髪に隠れて察することはできないが、僅かに頬が赤らんでいるように見える。
確か酒は、呑んでいなかった。
「どう?ここみたいな場所で三人ゆっくり暮らすのは、きっと幸せだわ」
「…フィアナさん、あなたは」
「…ねぇ、コルナタ」
「……」
「私も酔ったからおぶって…」
「呑んでないのに…?」
酔っていたのは本当だった。酒呑みと同じ空気を吸っただけで酔うほどの下戸はいくらなんでも予想がつかない。
フィアナの爆弾発言から既に二回目の朝。
村人たちは相変わらず平穏そのもので、何の役にも立たない奴隷商人一行に対しても愛想良く接してくれる。
川を眺めていると釣り竿もくれた。
「竿や針を作るのも暇潰しに良くてのう。でも釣りをあんまり熱心にやらんから竿が余るんじゃ」
身も蓋もないと言うか、本末転倒と言うか。
コルナタもとりあえず糸を垂らしてみる。
港の街に育った身として釣りくらいは当然の嗜みだ。と言っても川釣りは初めてだったがほいほい釣れた。
「餌もつけてないのに…?」
なんだか逆に心配になってきたりもした。
なるほど、こんなところで暮らせれば一生穏やかに生きていけるだろう。
波乱万丈の生涯を送ってきたフィアナが居着きたくなるのも無理ないかもしれない。
だが。
運命は彼にそんなつまらない生涯を許さない。
「あ、あの!」
「…ん、はい。どうしました?」
気がつくと竿を持ったまま居眠りをしていたようだ。日も高くなっている。
声をかけてきたのは、村に住んでいる少女だった。
幾度か走り回っていたのを見てこの村にしては随分活発だな、と思ったのを覚えている。
まあ、娯楽の少ない田舎の子供なのだから走り回るくらいは普通なのだがその時のコルナタが少しおかしくなっていたのもあった。
それに、職業柄コルナタは人間観察を欠かさない。人の顔と名前はすぐに覚えるし宴会で村人が踊っていた変な踊りも実は一通り記憶している。
秀才の面目躍如であった。
いや踊りなんて覚えなくていいけど。
「あの、わたしマオって言います!」
「名乗るなら、コルナタ・エイゼルと申します。何かご用ですか?」
「わたしを奴隷にしてください!」
おもわずコルナタは周囲を見回した。
奴隷商人であることは名乗ったがしかし万一この子の親なり身内なりが聞いていたらさすがにこののんべんだらりとした村に裁判が起きかねない。
この時代の裁判とは有罪無罪を明らかにする場ではなく、処刑の方法について話し合う会のことだ。
歳の頃はコルナタより少し下。このような田舎であればまさに嫁入り前といった年齢か。
顔立ちが特別整っているわけではないが健康的な肉付きで、少々落ち着きのない振る舞いにも愛嬌がある。
買い、ではあるが。
「一つ、聞かせてもらえますか。何故、奴隷になろうと?」
質問を投げると、途端にマオの表情は険しくなった。
「…お金が、いるんです」
「…この村で?」
これまた信じがたい話だった。
この都会の人間が思い描く理想の田舎生活、みたいな田舎の村で、金に困ることが?
「あるんですか?」
「あるんです…」
訥々とマオは語り始める。
「この村は、この川と共に生きてます。川面ですけど、水に関する設備も欠かせないものです。水を引き入れて使う水路や水門、簡単なものですけど水道も…でも、全部古いものです。いずれ大きく作り直さなきゃいけません」
「よく知ってるんですね。僕もそう思います」
「へへ…お父さんが、昔外で勉強してきたそうです。わたし、計算なら村一番ですよっ」
ほう、教養がある。
これは大きな評価点です。専門の知識までなくとも教養があれば一気に行き先の幅が広がる。買い手によっては若く見込みのある奴隷を学校へ行かせたりもするとか。なるほどますます買い度が上がっていく。
「つまり、必要なのは村の設備を更新するためのお金ですか」
「そうなんです!この村、みんなあんな感じなので…お父さんも、最近はお母さんに贈る綺麗な花を探すんだって山へ行ってばかりで…」
なるほど。
動機の方は理解できた。村のため、はともかく家族のために身売りを、というのはよく聞く話。実際にそんな事情を抱えた女奴隷を扱ったこともある。その時はこんなに悲愴ではなく、「貧乏な家を捨てて一発を狙うのよ!この場合の一発は一発懐妊ね!」と意気込んでいたし上手く金持ちの使用人として雇われていったが果たして今はどうしているのか…多少歳上でも我慢する、と気合いの入った言葉を残していったので成功している…と思いたい。
「…事情はわかりました。あなた自身も良質で、いい奴隷として売れるでしょう。しかし…さすがに村の設備全てを賄えるほどのお金は出せません」
「そうですか!あ、いや…そうですよね…んー…あとは…誰かに相談するしかないかな…」
「…?それに、やはり親御さんとも話をしなければ」
「それはだめっ」
「…」
「あっ…えっと…」
「…嘘つきは値段が下がります」
「…う、嘘ではないんですけどっ、ほんとでもないです…」
元々そういう性格だったんでしょう。吐く時は一瞬でした。
「あの、お金がいるのはほんとなんですよっ。でもその、他にわたしの目的があると言いますかわっわわわわ」
突然肩に手を置かれコルナタと向き合う形になったマオは驚きのあまり身体ごと跳ねるが、しかし想定外に強く抑えられていることに気付くと相手の顔を見る冷静さを取り戻す。
真摯で、どこか悲しげな表情だった。
「…どんな目的かはわかりません。でも、これだけは覚えておいてください」
「奴隷とは、自由を奪われた人がもう一度誰かの手を借りて立ち上がるまでの仮の立場です。そして、人によってはその一生を誰かに左右される立場になる」
「わかりますか?僕はあなたを、奴隷にしたくはない」
頷くしか、なかった。
それは、全ての奴隷商人の共通して掲げる理想などではない。
商売と割り切ってどこからでも買いどこにでも売るものもいる。
コルナタはそれを悪行と呼ぶつもりはなかった。
言ってしまえばただの意地。独自の美学と言うにはあまりに青臭い。
だが、それは他ならぬ師から受け継いだものなのだ。
師もまたその師から教わったので、いまいち解釈に自信がない、とは言っていたが。
しかし、コルナタは共感した。
これは自分の一生を賭けるのにふさわしい言葉であると思った。
自身も未だこの言葉の全てを理解したとは言えない。だが、師もまたこの言葉を基底に置いて商売を行なっていたように見えた。
自分たち奴隷商人は人がもう一度立ち上がり自分の運命を全うするのを後押しするもの。
故に、自由あるものから自由を奪うことはできない。
「なので、お金を別の方法で稼げないか考えましょう。時間はありますから」
その時。見計ったように会話の空隙へ言葉を滑り込ませたものがいた。
「ほっほ。その必要はないぞ」
「…おじいちゃん!?」
村長だった。マオの祖父でもあったらしい。
「マオや。その問題は他ならぬお前の父が解決しておる」
「えっ?お花探して崖から川へ落ちて村まで流れて帰ってくるお父さんが…?」
父もなかなか根性のある人物だった。
「うむ。実は今、中央の王が世界中あらゆるものを絵で記録し誰でも見られるよう本にして売り出す、という計画を進めておってな」
「…中央、イーデガルドがですか?」
「そうじゃ。そんで、この近くまで使いが来てのう。マオの父が集めて回った虫や花がとても珍しいものだということでとんでもない金を貰ったんじゃ」
「お父さん…もしかして、今も村のために珍しい花を」
「いや、あくまで偶然じゃ。本人にその気は全然ない」
「そ、そっか…」
「ま、そういうわけじゃ。マオ、お前はお前の夢を叶えるとええ」
「う、うんっ!ありがとうおじいちゃん!」
言うやマオは勢いよく立ち上がり、そのまま村の中へ走り去っていった。
と思ったら戻ってきて、
「コルナタさんはちょっと待っててください!」
と言い残して今度こそ走り去っていった。
嵐のような孫娘が去るのを見届けて自分まで去ろうとする村長を、しかしコルナタは引き止めた。
「もう少し聞かせてください」
「…何をじゃ?」
「イーデガルドは、どこまで来てるんです」
「知る限りは下流の町まで。おそらくあそこが最南端じゃろ」
「……ここはまだ南の港国の影響範囲内です。もしそれが本当なら、イーデガルドは既にかなり深くまで浸透している」
「うむ。戦争になるかも知れんな」
「村長!」
「ほっほ。焦らずともよい。実はさっき一つだけ嘘をついた」
「え?」
「来たのは使者ではなく王本人じゃったよ」
「………」
「ほっほっほ。空いた口が塞がらんという顔じゃのう。ええ顔じゃ」
「…王は、何と?」
「信じるんじゃな」
「信じます。あの人ならやりかねないと、わかってます…身内、ですからね」
「…ほう。今度はこっちが驚かされたわい」
「あの人は、何と?」
「まだ早い。まずは北を食い尽くす、と」
「……そうですか。ありがとうございます」
「ほっほ。なんだか大物になった気分じゃのう」
「…はは。なんだか色々あって逆に頭が冷えました。ありがとうございます」
「ほっほ。ええんじゃよ。なんもしとらんけど」
ははは、ほっほっほ、と朗らかに笑いあう青年と翁。
そう、この時はまだ二人とも、いや他の誰も予想だにしていませんでした。
奴隷商人コルナタ・エイゼルが、南の港国を率いて武王デルニシテ・イーデガルドと相対することになるとは。
さて、そんな和やかな歴史的瞬間に、騒がしい娘が帰ってきました。
「お待たせしました!コルナタさん!」
「ああ、お帰りなさ、い…?」
息を切らして戻ってきたマオは、何やら大きな荷物の詰まった革のかばんを抱えていたのです。
この時、本能が危機を察知した結果一瞬腰を浮かせかけましたがそれでも一旦落ち着いて、コルナタは訊ねました。
「マオさん、その荷物はいったい…?」
「コルナタさん!」
「はい?」
「弟子にしてください!!」
コルナタは来た、と思いました。胸中では既に頭を抱えていますがそんなことはおくびにも出さず冷静に反論します。
「えっ、と…マオさんの目的とはもしかして…」
「ここを出て、商人になりたいんです!!」
「そ、それなら近くの町の商店へ頼みに行けば…」
「あの村の連中やる気ないからなぁ、と渋い顔されて断られました!なので、奴隷としてどこかの商人さんに雇ってもらおうかと思ったんですけどそれも無理そうなので、直接コルナタさんにお願いします!!」
「いや、僕もまだ若輩ですし…」
「じゃあ一緒に成長していきましょう!!よろしくお願いしますね、師匠!」
「…ええ…」
世の中、いかに迷惑をかけるのが上手いかが幸せになる鍵です。
後は、鍵を穴へ差し込むだけ。
そう。迷惑をかける相手が見つかれば、後は突っ込むだけなのです。
こうしてコルナタは二人の奴隷に加え、一人の弟子を得るに至りました。
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