第6話 知識
「師匠はなんで呪術のスキルを持っている人をさがしてるのですか?」
「...サヤが言わないってことは...私は言っちゃダメ...ごめん、でも...いつか分かるわ...ほら、今は集中...して」
師匠が出て行ってすぐ、ミレイさんは紙とペンを持ってきて俺のステータスを書いてくれた。
「ミレイさんも人のステータス見れるんですね」
「...鑑定スキルは...努力すれば誰でも手に入れることができる...今度、教えてあげる...」
俺は紙を覗き込む。
Lv.0
筋力 14
魔力 13
敏捷 12
物防 8
魔防 5
幸運 10
スキル
呪術lv.1 火魔法lv.2
ステータスは結構伸びているが、まだどれも15に届いていなかった。
魔法に関しては火魔法のレベルが上がっている。
頭の中で火魔法と念じる。
すると今使える魔法が思い浮かんできた。
ファイアーボールとファイアーウォールか。
どうやらファイアーウォールを覚えたらしい。
本で読んだ感じだと名前の通りで炎の壁を作る魔法らしい。
ミレイさんの方を見ると、かなり渋い顔をしていた。
「...やはり、生身の体じゃあ...15を越すのは無理ね...きっと魔法もlv.2以上は...上がらない」
「どういうことなんですか?師匠も限界とか言ってたけど...もしかして俺、15まで上がらないんですか?」
「....普通なら...凄い才能がない限り...能力値が15を...越すことは...あり得ないわ...レベルアップを...除いてね」
「レベルアップって何ですか?」
レベルアップそのものの意味は知っている。
しかし師匠やミレイさんの言葉を聞く限り、俺の知っている意味とはだいぶ違っていると思う。
ミレイさんは察してくれたのか、俺が望む答えを投げかけてくれる。
「....レベルアップと...職業は神からの...祝福。レベルアップは...魔物の魔素を...体に溜め込むことで、限界を超える力を...引き出すことができる。職業は...専用の儀式を経て...就くことができる。...職業に就くことによって...自分の潜在値が...何倍も伸びて...体も...丈夫になるわ」
冒険者ギルドで冒険者登録することによってハンターは「冒険者」という職業に就くことができる。
だからハンターはみんな冒険者という職業に就いているということだ。「戦士」や「魔法使い」という職業があるわけではない。
「冒険者」という職業はかなり強くて、就くだけで能力値が現在の状態の倍に上昇するらしい。
他にも「商人」や「騎士」などの職業や「戦乙女」や「剣聖」などのユニークジョブが存在するらしいが詳しいことはよく分からない。
ん?さっきミレイさん普通の人は15まで上がらないって言ったよな?じゃあ普通の人は冒険者にならないじゃん。ミレイさんに聞いてみよう。
「すいません。ミレイさんの話を聞く限り、冒険者という職業はかなりのエリートだと思うのですが、俺が見た限り、そこまで凄そうじゃない人もいるのですがなんでですか?」
「...1年前、急に...ギルドが登録できる条件を...変えたのよ。前までは特に...条件はなかったのだけど...あまりに冒険者が増えたから...他の仕事に人を回すため...登録のハードルを大きく上げて...他の職業に就かせようとしたの。だから...普通の方法では登録できないのよ」
えぇ、そんな極端なことをしたのか。
「...でも、才能がなくても...金さえ持っていれば...冒険者を雇って...レベル上げをすることが...できるわ」
今の俺みたいな感じかな?
冒険者事情は複雑怪奇らしい。
「...今の大侵攻が...終わったら、きっと誰かが...魔王を倒してくれるから...冒険者はいらない...かもね」
魔王、それは魔物を統べるもの。
一般的にはこの大陸の北の果てにあるダンジョン、獄炎殿の最深部にいるボスのことを指している。
200年前、大陸中の国々が争っていたときにソレは急に現れた。
大陸中にダンジョンを作り魔物を生産して、侵攻してきた。
それに対抗する為に国同士の戦争をやめ、協力し、魔王を倒すことにした。
実際、魔王を倒すことができたが、5年後、また獄炎殿に魔王が現れた。
それから、定期的に魔王を倒す必要があることが分かり、冒険者で編成された魔王討伐パーティーを組んで、人間は対抗した。
魔王を討伐できたパーティーのメンバーは勇者という称号を与えられ、富と名声を獲得できるという。
あと。大侵攻か。
俺は最初存在を知らなかったがこちらではどうやら常識らしい。
大侵攻は2年に一度、魔物の大群が王都に攻めてくることを指す。
魔物の総数は5万ととても多いが、5万同時に出てくる訳ではないので意外と楽らしい。
しかし逐次投入という感じなので非常に期間が長い。
だいたい半年から1年くらいかかるらしい。
しかし魔王を倒せば大侵攻は止むため、魔王討伐の重要性はとても高い。
俺も魔王討伐のパーティーに参加したいが、俺は才能がないので絶対に無理だろう。
とりあえず目の前のことに集中しなきゃ。
「...とりあえず、今は冒険者に...ならないとね...修行、始めましょう」
俺の意思を汲んでくれたのかミレイさんは大きく頷きそう言った。
そして俺のキツい修行が始まった。
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