現在の長男

 中学から不登校だった長男は大学2年生になっている。

 放課後登校で出席日数をかせいだ長男は、一度高校へと進学をしたが、結局は途中で退学することになった。

 しかしキャンパスライフというものに憧れた長男は、高校卒業程度学力認定試験を受けて合格し、同級生たちより1年遅れて私立大学に入学した。

 

 キャンパスライフを満喫している長男だが、朝から講義がなければギリギリまで寝ている。ギリギリまで寝ていて、大慌てで車で出ていく。

  一度、焦りすぎてカーポートの支柱にぶつけた。台風や大雪の時だけ取り付ける支柱だったので、カーポート本体は無事だったが、外れた支柱が車に倒れて20万円の修理代がかかった。

 普段うるさい事は言わずに見守るようにしているが、さすがにこの時ばかりはこんこんとお説教をし、20万円は月々のバイト代から2年かけて返却する事を約束させた。

 これが、こちらから請求しなくてもきちんと払ってくるので感心している。

 なにはともあれ、大学生活は実に楽しそうにしている。バンドとマージャンが好きなウェイウェイ大学生"といった感じだ。

 大学では、バンドサークルに所属している。時々ライブをやり、ドラムやベースを担当している。そのサークルの先輩が家から車で40分ほどの大学近くにあるアパートに住んでいる。

「先輩の所に泊まる!」

 始めのうちは朝一から講義がある時だけだったのだが、そのうちマージャンを覚え、週の半分以上はその先輩の家で寝ているようになった。

 大学に行って、帰ってきて、バイトに行き、帰ってきたと思ったら先輩の家へ…

あるいは、帰ってきて今日は家で寝るのかと思っていたら、「電話かかってきたから、行ってくる!👍」と、10時過ぎに嬉しそうに出ていく。

 ある日「先輩が旅行から帰ってきて、もうすぐ駅に着くから迎えに行ってそのままアパートで遊んでくる、」

と言う。

「どんだけ先輩好きなの〜😑」

と、あきれて言うと

「ん?メッチャ好き。大学近くのアパートごと好き 😁」

と返事をして出ていった。

 とにかく、"将来のために"ではなく、ただただ"キャンパスライフを味わってみたい"という動機で大学に入学した長男は、めでたく美味おいしいキャンパスライフを満喫している。

 長男の大学は世間一般的に言って、良い大学ではない。"将来は?"とか"就職は?"とか"卒業できるの?" とか心配しだすとキリがない。

 しかし楽しそうにキャンパスライフを満喫している長男を見ていると、たとえ"卒業できなくても" "就職できなくても" "まあ、なんとかするだろ"と思える…いや、思おうと思うのだ。

 心配や不安は意識すれば意識するほど大きくなって、それは決して良い結果を生まないと、今では私もわかったから。

 


 

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