恋と夢

佐武ろく

今日いつも通り会社に出勤したら後輩の女の子が髪を短くしていた。どうしたのか尋ねてみるとこっそり教えてくれた。



「実は好きな人ができたんです」




話によると彼女は営業部の吉沢という少し年上の男に恋をしたらしい。そして同じ営業部の友人にお願いして吉沢のタイプを聞いてもらったらショートヘアが好きと答えたそうだ。だから彼女はアピールするため、より自分を魅力的にするため髪を短くしたというのだ。



「じゃあ今日にでも言いに行くのか?」

「え!まさか!もっと自信をつけてからにします」

「まぁ頑張れ」

「ありがとうございます!」




それから彼女は自分を磨いていた。本人が言うにはメイクや仕草なんかを勉強しているらしい。たまに男目線の感想を聞かれる。男目線といわれても結局は俺の趣味嗜好で答えているのだが。まぁとにかく彼女はよく頑張っていると思う。恋する乙女とでもいうのだろうか。ある時、俺はこう質問したことがある。



「何でそんなに頑張れるの?努力したからって必ず実るとは限らないのに」




俺はいらない紙に落書きをしながら訊いた。



「そうりゃそうですけど、先輩ひどいこと言いますね」

「別にお前の恋が実らないって言ってるわけじゃないからな」

「それは分かってます。けど何でって言われたら」




何となくした質問だったが彼女は少し考えてくれた。



「分かんないです。でも吉沢さんのことを考えてたらがんばろうって思うんですよね。それに、好きな人に好きになってもらうために頑張るのって楽しいですし。あとはやっぱり可愛いって思われたいじゃないですか」




彼女は恥ずかしかったのか頬を赤らめながら語ってくれた。


それから数日後、彼女は意を決して告白をしたらしい。その結果は...

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