第4話闘神視点
「やあ、初めまして。
俺はブルートだ。
このダンジョンに潜るなら、俺のような案内役が必要になるのは冒険者ギルドで説明されたね?
だから最初は俺の指揮で動いてくれ。
ギルドが認めてくれたら二人で狩りができるようになる」
ついにこの時が来た。
ずっと愛おしく思っていた、聖女ダイアナと一緒に戦うことができる。
ようやく念願かなって胸が躍る思いだ。
人間の身体に似せた現身を造っておいてよかった。
二〇〇センチの堂々たる体躯に鋼の筋肉、鮮紅の怒髪と深紅瞳に赤銅色肌。
闘神と呼ばれる我にふさわしいみごとな肉体である。
問題は使う武器が蛇矛と剣という闘神が得意とする武器だから、そこから正体がバレる事だが、大雑把な聖女ダイアナなら問題ないだろう。
本当に聖女ダイアナが単純で大雑把な性格でよかった。
我の事を全く疑うことなくパーティーメンバーに受け入れてくれた。
だが大雑把過ぎて、これほどの偉丈夫に全く魅力を感じてくれないのは、大きな計算違いだった。
色恋沙汰に発展することを少しは期待してたのに。
だが幸せな半年であったことは間違いない。
我が創り出した前人未到のダンジョンを、わずか半年で人類最深階まで到達するのだから、さすが我が聖女である。
この速さでここまで強くなるとは、我すら予測していなかった。
「すまないけれど、狩りは今日までよ。
私にはやらなければいけない使命があるの。
ここでこのパーティーは解散よ」
とつぜん聖女ダイアナがパーティー解散を言いだした。
こうなる事は分かったいた
ラステ王国の惨状は、我は遠見で見聞きしているからよく分かっていたのだ。
カミラに魅入られたジョージ国王が王族を皆殺しにして民を虐げ、永遠の美貌を求めるカミラのために、乙女の血風呂や生血ワインを与えているのだ。
聖女ダイアナがそれを聞いて黙っているわけがない。
「私もお手伝いさせていただきます。
戦い死んでいった闘神殿の仲間達の敵討ちです」
我の神官達も信徒達も、正義のために戦い死んでいった。
他の神の手前、神力で介入することは躊躇われたが、現身の身体なら文句も言われないだろうから、ここは敵を討ってやろう。
「俺も手伝わせてもらうよ。
お前達と一緒に戦うのはとても面白いからな」
ここでも聖女ダイアナの大雑把な性格がよかった。
変に気を使う事もなく、来る者拒まず去る者追わずで、一緒に戦うことになったが、楽勝だった。
我がつきっきりで鍛えた闘神殿の聖女ダイアナと、魔眼の持ち主で我の使徒グレンに、闘神の我がいるんだから、人間などに負けるはずがないのだ。
ダイアナな戦いぶりは我の聖女に相応しい。
不正義な復讐など一切加えない。
だからカミラもジョージ国王も一緒に悪事を働いていた者も、一刀で殺していた。
我は満足である。
荒廃した国の復興など我の趣味ではないが、大雑把なダイアナが半泣きになりながら頑張っているいる以上、最後まで手伝ってやるしかあるまい。
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