トーカさん4時間座らさせられりゃれる
トーカさん4時間座らさせられりゃれる
こういう仕事は本当にあるものなんだなと思った。
トーカさん、5時過ぎには起きて着替えをして、いると、いつも皮肉や嫌味っぽいことばかりいうナースさんが、この日は特に早く朝食を準備してくれていた。
朝食といっても、パンとヨーグルトくらいのものだけど、なにもたべないよりは。あとなぞ野菜と、水。ただの水だけどこの水で、薬を飲むのだ。
で、ばすを探す。これが知らない場所だから、ないし、時間がどれだけかかるかわからない。なんとか見つけて、乗って、たどりついたのが開始30分前。
多分間に合わないと思う。ので、タクった。
ダークトーカさんが聞いたら笑うだろう。
一本電話を入れればいいことだろ、と。
くっだらねえ、まじめに定時に通勤することに、いまさらなんのいみがある?と。会社は法律を破ってまでおまえを切るんだぜ、遅刻しようがなにしようが、行ってやりゃあ、いいんだ。「だって、雇い止めは違法じゃないですか」
タクシーに600円払って間に合った。止まる瞬間。タクシーが止まる本当の瞬間。ワンメーター上がったのを恨めしそうに見た。
職場は5階と6階が……こんなことまで詳しく書くことはないか。
とーかさんの姿を認めると、手を振ってくれたり、声をかけてくれたりする。嬉しいことだ。嬉しいことなんだけど、戸惑ってしまったりもする。
「あ、ああ」とか。
どうも、チームの一部にしか、雇い止めの話は伝わっていないみたいだ。
今日は社員カードを落としてしまって、探していて、フロアを行ったり来たりしていて、その間に人と出会ったりして、でもそれどころじゃなくて、かなりあたふたした。
それで、朝渡されたデータのチェックの仕事。
普通にやって、3時間ほどでおわるしごと。
「あの、終わりましたけど」
「ええ、早いなあ」
他に仕事はないというのである。
仕方がないので、椅子に座っていた。
4時間である。
なるほど。
こういう会社なのか。な。
すぐに決めつけるのは良くないけれど。
でも、詩を書いたり、ノートを読んで復習したりして時間を潰して
帰り際、「明日はもっと少ない」というので、
アレだったら有給消化しますけどといって逃げた。
6時間とか座らせられるのだろうか。
でも、前職はもっとすごかった。
郵便局のパンフレットを渡されて、それを2週間くらい読まされてた。
ゆうパックは何センチ足す何センチ足す何センチまで遅れるとか。
定形外郵便についてとか。料金後納郵便についてとか。
すごい読まされた。頭おかしくなるかと思った。
あ、今精神病棟にいる。
そういえばトーカさん、以前、精神病院でドグラマグラ読んでました。
帰りはバス乗り場をうまく見つけて、病棟に帰った。
思えば、異質ではあると思う。
病棟に帰るという行為。
病棟から出勤して。
考えれば、淋しいからなのだろう。単純に。
暗い誰もいない家に帰るより、トーカさんだーと言ってくれる人がいる場所の方がいいに決まってる。
それが異質ではあるが歪ではあるかといえば、必ずしもそうは思わない。
珍しくはあるがね。
そんなスペースというか、空間はいくらでもある。
シェアハウスなんかそうだし、老人ホームなんかもそう。いくらでもある。
淋しい時に風俗を使うのも似たようなものだろう。それは違うか。
ま、自分の調子が良くなるように、やっているということ。
ということで、明日はオフになった。
……っていうか、本当に病んでた人に、強制職場異動させて、閑職やらせるとか、ひどいんじゃないか。職場としては「復帰したんだから、負担のない仕事を」ってことなのか。
明日は有意義に時間を使いたい。小説を書いたり映画館に行けたら行ったり。
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