7日目 あわひえ問答
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8日目.朝起きると,遂に,こわれた.
壊れていた.
[俺の,beatsがあああああああああ]
それは起きて,7時半,食堂に行こうとしたときのこと.
食堂に行っている間に,bluetoothのヘッドフォンを充電しようとしたんだ.
Microusbのジャック?をソケット?に入れて4人部屋を出ようとしたらいきなり化学的な煙の匂いがした.なんだ?と見ると,ヘッドフォンから煙が上がっていて,慌ててコンセントからUSB充電機を引き抜いたけど,ヘッドフォンの充電口はどろどろに溶けてしまっていた.[ええ!?]
本当にたまたま気がついてよかった.ここは何十人もいる病院.朝だから寝てる患者もいっぱいいる.火がついていたのは確実だったとおもう.
そんなことがあって、ずっと愛用していたAppleのbeatsは使えなくなってしまった。その日1日、メーカと電話やメールでやりとりをして、ケーブルとヘッドフォンを送って調査する、ということになった。
最近、食事がおいしくないんだ。
うーん。というより、単に、好き嫌いの問題が主なだけ。
今日この日の朝は、オムレツ、豆スープ、アスパラガスのサラダに牛乳。
オムレツはたべる。でも、豆は苦手。この病院は豆が好きで、本当によく出てくる。アスパラガスは食べられない。牛乳なんて、もってのほか。ということは、朝オムレツを食べるだけということになってしまう。パンはつくのだけど。いつもこんな調子だ。
昼、夜はだいたいライスなのだけど、白米だけじゃ絶対食べられないのがトーカさんだ。だからうかつに、メインの魚料理を食べてしまうとご飯を食べられなくなる。記録表の食事摂取量欄は、「主 1割」「副 2割」とか書いてしまう。
そう、調味料とか、ふりかけの類は持ち込み禁止。こっそりかけたりもするけれど。食堂では携帯も禁止。ここの病院の食事は本当においしい(好き嫌いなければ)ので、記録として撮る人はすごくいる。ネットに載せるやつは聞いたことがないが。公式サイトで載せていると思う。
食事については摂食で苦しんでいる人が多いので、そこは他の病院に比べて、すごく考え抜いて作られてると思う。
だから一度、入った当時にちゃんと言った。いつも話しかけてくれるおばちゃんに。4年前に入院していたときのとーかさんを覚えてくれていたおばちゃんに。
わたしら、ごはん喉を通らなくてみんなきてる、きてる人多いですよ。でも、ここのめしは、あったかいし、ほんとにありがたいと思ってますよ、って。
なにいってんのみたいな顔をされてしまったけど、4年前からずっと思ってたことだし、みんな思ってるだろうことだから、
前に退院するときに伝えたかった言葉でもあって。でも恥ずかしくていえなかったのだけど、躁ということもあって、朝だったしテンションが高かったからノリでちゃんとお礼を言えたのでよかった。
でも、あまり食べてない。食欲がない。あまりよくない。
少しでも体重が落ちていけば良いのだけど。
この日は、知る人ぞ知る都営地下鉄の乗車券の更新に「外出」。
ふつうの1時間外出じゃない、事前申請が必要な、ロング外出。
原則5時までに帰ってくればいいことになってる。
特別な問題がなければ外泊も可能。
トーカさんはあまりこの外泊という言葉、好きになれない。
自分の家に帰ることを外泊とは言わないだろうということ。
細かいことだけど、違うこと、違和感を感じることに慣れてはいけないと思っているのだった。
自分だったらあえて「一時帰宅」という言葉を使いたい。
都営の地下鉄の駅めぐりをして、交通券の更新をして。だいぶ時間がかかった。
戻ると、ナースが来て、言った。
「今日、リハビリがあるんですよ」
と。
ここでいうリハビリというのは、医師の判断でやることになるものなのだけど、一人で外を歩くのが辛い、という人なら、作業療法士の方が付き添って散歩に出る、というコースもあれば、ランニングをしたいひとに付き合うとか、オセロをやるとか、人生ゲームするとか、さまざま。
トーカさんの場合は、なにをしてもいいと言われたので、「クイズ的なものはありますか?*\(^o^)/*」と聞くと、ないと言われた。「間違い探しがある」というので、間違い探しを30分やった。何を隠そう、トーカさんは15年くらい前、マイクロソフトのゲームサイトがあった頃、世界ランク154位だったことがあるくらい間違い探しが得意なのだった。
18個間違いがあるというので、ほう、なかなかのボリュームだなと思った。
20分くらいかかってみつけた。「早いほうじゃないかね」と言ったら、「前の人の方がもっと早かった」と言われた。僕の時代はもう終わったことを知った。
夜は、紫色の五穀米が出た。これはまったくわからなかった。
一緒に食事をする同室の初老の男性に「これはひょっとして、あわやひえですか」と聞くと、そうだと答えた。
「なぜ令和の時代になってあわやひえを食うのですか」と尋ねたら栄養分の問題なのだという。味は問題ではないのだと。店によってはうまいあわやひえを出すところもあるのだという。あわやひえに金を出すなんてトーカさんには思いもよらない。
あわやひえ、米、あとの二つは僕には調べる気にはならなかった。
うーん、麦ですか。小麦とかもあるかもしれないな。
最近は、食事が終わるとラウンジでテーブルを囲んで談笑する仲間は8人くらいになった。
ワタモテのようだ。連載当初誰とも話さなかった黒木さんが今ではふつうに友達だらけという。
結局、それも、4年前もそうだけど、たった一人がちょっとしたことを話しかけてくれる。そこから入ることができる。自分から話しかけることができない。開業しているうえに、年甲斐もないし、恥ずかしいことだけど、それがとーかさんってやつなんです。
ちなみに、異世界転生ブームに喧嘩を売るために書き始めた作品「M法遣い」ですが、アクセス数が0です。
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