第31話 目当ての建物
建物を目指すこと40分以上は経っただろうか。太陽はまだまだ頑張ってはいるが、夕暮れと昼の間ぐらいにはなっていた。
向かう途中、方角がわからなかったり道が通れなかったりといろいろあったが、目的の建物へ何とかたどり着くことができた。
その建物は50m……ほどはないが、数メートルか、十数メートルくらいの高さの壁によって囲まれていた。煉瓦製の壁は古びてはいるが、まだまだそれなりの強度は持っているみたいだった。入り口はどこかと探そうと思ったが、案の定崩れているところがあったので、そこから入ることにした。
山になっている瓦礫をゆっくり乗り越え始める。自転車は持ったまま乗り越えるのはきつそうなのですべての荷物を持ってご丁寧に鍵をかけてそこらに置いておくことにした。安定しているとは言い難い瓦礫を慎重に登り、ちょうど瓦礫のてっぺんあたりに行くと、お目当ての物を見ることができた。
「……だいぶボロイな」
それは近くというわけでも、遠くというわけでもない。そんな距離にあのビルから見ていた建物があった。遠くから見たときにはもう少し立派に見えたのだが、近くで見ると多くの所が崩れていたり、シダが生い茂っていたりといろいろとボロい。まあこの世界で綺麗な建物を見ることはできないと思ってるが。
残っている建物から見るに、ここはかなり大きな宮殿だったようだ。そして大規模な爆撃を受けたことも。
「なんか壊れてるところがいっぱいあるね」
彼女の言う通り、建物が崩れたりしてるところがいっぱいある。ここも酷い爆撃を受けたみたいだ。木ではなく石とか煉瓦とかで造られているからか建物自体は残っていたりするが、それがかえって戦争の時の被害を後世まで伝えてしまっている。
といっても一応崩れたりしていない所とかもあるので、瓦礫の山から何かを探すみたいなことはしなくてもよさそうだ。
壁の内側へ行こうとがれきを降りようとすると、すぐ近くにはぼうぼうに草木が生い茂っていた。それだけなら割とよく見る光景なのだが、地面には石でできた通路の跡や、花壇の跡らしきものもある。ここは昔は庭とか、庭園だったのではないだろうか。見た感じ花もところどころ咲いているみたいだし、多分間違った推測ではないと思う。
瓦礫の山から何とか下り、その庭の跡を進んでいく。一応気温と太陽の高さ的にここは冬なんだと思うが、ここには数多くというほどではないが、まあまあな数の花が生えていた。色は紫が多いみたいだが、他にも赤や白、青色の花なんかも結構ある。しかし、花や草の手入れは全くされていない。まあ当然だが。
「うーん……なんかあんまし綺麗じゃないなぁ」
1つ1つの花は美しいが、それらの花が無秩序に生え、草木も好き勝手に生い茂っているためか、全体を見てみるとあまり綺麗ではなかった。恐らく昔は立派な庭園とかだったのが、手入れする人がいなくなりそのまま廃れたのだろう。
昔はどんな様子だったのかを考えながら、かろうじて残っている石の道の上を通り、目的にしていた建物へと近づいていく。
建物の方はなんというか、フランスとか、ドイツとかにありそうな感じの石製の建物だった。かなり幅広の建物みたいで、結構豪華なつくりなのではないか。ただ残念なことにところどころシダに覆われている上に崩れているところがままあるので、今となってはそんな立派な建物には見えない。
崩れているところは経年劣化で崩れた感じではなく、他と同じように爆撃のせいで崩れたのだろう。しかし、崩れた建物の瓦礫はそんなに落ちていないみたいだ。爆撃後にどこかに片付けでもしたのだろうか。それはともかくとして、崩れているところがあるので入り口を見つけるまでもなくそこから中に入ることができそうだ。
「ふむ……中の方も豪華な感じやな」
建物の作りや材質、装飾なんかも古びてはいるが、それでもなおお高い感じがする。
中には鎧や絵画みたいなのも置いてある。絵画は古ぼけてほとんど何が書いてあったのかわからなくなってたりするが。
今の所そんな興味を引きそうなものはないが、きっとこの建物内になんかすごそうなのがあるだろう。そんな淡い期待を持ちながら、2人で建物の奥へと進んでいった。
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最近投稿のペースが遅くて申し訳ないです。大学のオンライン授業が始まって、レポート書く合間に小説書いたりしています。失踪とかはしないように頑張ります。
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