密室殺神
きょうじゅ
第1話
神は死んだ。死んだんだと思う。死んだところは確認していないが、とにかく死んでいる。
俺が今いるのは、なんというか、宇宙空間のような背景の中にぽっかりと浮かんだ中空の空間の中だ。いちおう、文机と椅子だけは置かれていて、最低限執務室的なものに見えるような体裁になっている。
で、その文机の脇に、仰向けに寝そべって一人の女が死んでいる。女というか、女神だ。なんか白くて長い、清楚なドレスを着て、神々しいティアラを頭につけて、髪は長くて蒼い、そして、明らかにこれが死因だと思われるが、胸に刺し傷がある。心臓を一突きだろうか。それ以上のことは、今の時点ではまだ分からない。調べてもいない。
なんで俺がコスモス背景の中空空間で女神の死体と一緒に閉じ込められているかというと、俺はここに召喚されたのだ。俺の意識の連続性においてはついさっきの出来事、俺は路上を暴走してきたトラックに跳ねられて宙を舞い飛んだ。
薄れゆく意識の中、俺は声を聴いた。
「悲運に見舞われし者よ。あなたに第二の生を与えましょう。あなたは異世界マギファニアに召喚され、勇者となって魔王カラドラバを討伐するのです。魔王討伐のため、あなたには特別なスキルが一つ与えられます。その手続きのために、ひとまずはわたくしの支配する亜空間へと来ていただきますので――」
ということで、来た。来た先がここである。地球人の信仰する天国とも地獄とも思えないし、俺に話しかけてきた奴の“支配する異空間”というのがここだということなのだろう。が。
着いてみたら、転がっていたのは死体だったのである。
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