第9話 母さんが女神になる時

バンクシさんに教えてもらった道を進み町一番の大きな建物についた


建物には沢山の人がいる、ものすごい行列だ・・・


「ていうかさあ、全然服屋さんとかないね、」


「あるのは塩を売る店ばかりね、これじゃ牛乳やチーズは売ってなさそう」


僕たちもその列に並んだ、なおスーパー台車は婆ちゃんの闇魔法で目に見えなくなっている、改めて婆ちゃん凄い


「あんた達、牛乳やチーズを求めているのかい?」


前に並んでいた女性が声をかけてきた、まだ若い筈だが肌が荒れている


「はい・・出来ればですが」


「無理さ・・・この間最後の牛が死んでしまった・・もう牛乳はないよこの町には」


女性は乳幼児を抱えている


「私もお乳が出なくなってね・・・シラクサ様に水を分けてもらいに来てるのさ、この町唯一の水魔導士シラクサ様にね・・・」


「それでこの大行列なんですか・・・」


「あんた、この子栄養が足りてないよ、それに脱水症状が出ている」

婆ちゃんが女性に抱かれている赤ちゃんをのぞき込む


「ちょっと待ってな!」


婆ちゃんはなべを取り出すとスーパー台車からトマト、ニンジン、大根、ジャガイモ、玉ねぎを魔法でカットして入れた入れた


蓋をして魔法で何やら圧力をかけている


「こうやって圧力鍋みたいにしてやると野菜の水分だけでスープができるんだよ!ポタージュっていうんだ」


{素晴らしい!康江はそんなことまで知っているとは、無水調理と言ってかなり高度な技術だ}


婆ちゃんの魔法の効果もあって30分もしたらポタージュが出来上がった


「こんな・・・すごい!野菜なんてどこにも売っていないのに・・」


「まずは子供だよ!子供が優先だ!」


スプーンですくって少しずつ子供に食べさせる親たち


「まって、この子!麻疹にかかっている、お医者さんはいないの?」

母さんが病気の子を見つけたようだ、母さんは元看護師だった


「お医者?、治療術士はこの町から出て行ってしまいました」


{この世界では、治癒魔法が強い為、医術の発達が遅れている、薬はあるが魔女や錬金術師が作り出すもので非常に高い、その為、治癒系の神官である治療術士が活躍している、高レベルの者は癌の完全治癒も可能であるので医術が発達しないのにはわけもある}



「麻疹は脱水症状を起こします、すぐに治療しないと・・・」

母さんが子供に手を当てた


するとどうだろう母さんの手が光りだす


麻状に広がっていた子供の皮膚は肌色の綺麗な肌に代わっていく


「え?」


「え?」


「治ってる・・・あああ!あなたは女神様です」


「ちょっとやめてよ・・・そんなんじゃないから」



「この子も!この子もお願いします」


「この子は水疱瘡!・・・綺麗に殺菌しないと・・・水がないのね・・私はワクチンを受けています、ほかの人は触らないで、何か浄化しないと・・・」



するとどうだろう母さんの回りが光りだす


水疱瘡にかかった子供の肌はポロポロ幹部が落ちていき下から新しい肌ができている


「え?どういうこと?この子も治った」


「女神様!この子も!」


「この子は脱水症状が出ている・・塩を少し入れたお水を飲ませて・・・」


母さんの手から水が出てくる


「え!なに?ととりあえずこの子に、少し塩を混ぜて」


母さんの手から出てきた水を器にためて子供に飲ませる

子供の息遣いが少し良くなったようだ


{美恵が目覚めたようだな、賢者美恵ここに始まる}


しかし、軌跡からだろうかあっという間に僕たちの回りに人だかりができてしまった


用意している野菜も少ない、


「いったい何事ですか?」


屋敷から一人の紳士が出ている、目の下にクマができている


{魔力の使い過ぎの症状だ・・・このままだとこの人の命も危ないだろう}


「あの・・あなたの魔力が少ないようです、あなたが危ないと・・・」


「ああ!すみません、水を出せる魔法士が今、私しかいません、できる限り出さないと死んでしまう町民も出てしまう」


「しかし・・あなたの言う通り、魔力が枯渇してきている、私の力ももうすぐ終わりそうだ・・せめて雨が降れば、雨を降らす力が私にあれば・・・」


「あなたがシラクサさんですねバンクシさんから手紙を預かってまして・・」


「そうでしたか、バンクシはいいやつです、私の幼馴染でね」


シラクサさんはバンクシさんの手紙を読む


「ほぅ・・・いいです、是非あなた方の作物をわたくし共のシラクサ商会で買わせていただきたい」


「それが、みんな使っちゃって・・」


「うん?」


シラクサは周りの状況をみる、よほど余裕がないのだろう



「シラクサ様!女神さまです!女神さまが現れたのです」


「シラクサさん・・雨ですね!やってみます、和也!パソコンからやり方聞きなさい」

母さんが真剣な顔で僕に叫んだ


{ウム!では和也行くぞ!まず海水が蒸発するイメージを持つんだ}


「海水が蒸発するイメージをもって」


{湧き上がった水蒸気は上昇し、やがて雲になるそういったイメージを持ってくれ}


「湧き上がった水蒸気は雲になる、雲は空中の微粒子に付着する水蒸気だからね」


{和也捕捉をありがとう!その雲がこの町に海からやってくる}


「その雲は町にやってくる」


{降らせたい場所にとどめる、それを繰り返しどんどん雲を重ねていくのだ}


「この町の上に雲を持ってきてドンドン雲を重ねていくんだ」


「できてるのかしら」


あたりが暗くなってきた


ゴロゴロ・・・


ポツリ


ポツリ


ポツリ・ポツリ・ポツリ


「雨だ!」


「雨だ!女神さまが雨を降らせてくれた!」


「ママ・・凄い!」


「美恵さん流石我が家の嫁だ!流石」


「母さんやったよ!雨だよ!」



「皆!雨を無駄にするな、ため込むんだ! ありがとう女神様!」


シラクサさんまで母さんを女神様呼ばわりだ・・・


「とりあえずお屋敷にどうぞ!」


雨はを降らせたのはうれしいがびしょ濡れは僕たちはうれしくない、言葉に甘えてお屋敷に行くことになった



「そうですか・・・山頂に転生されたというのですか・・・」


「なんかお余り驚かないですね」


「はい・・私の祖先も転生者だったと聞きます、ただそこまで凄い能力ではなかったので魔を倒すなんてことは出来なかかったですが、この町を作りました」


「これが祖先が残したコイン、シラクサコインです、一時はシラクサコインは価値もあったのですが、今は金貨1枚にもなりません」


シラクサさんが見せてくれたのは紛れもなくギザ十だった


父さんの2億円の野望は消えたか・・・


「この町は貿易補給の港町として栄えていました、しかし雨が降らなくなり、とうとう昨年から2か月以上雨が降りませんでした、エモナ山から流れるエモナ川も水が枯れ、農民は去り、富裕層はお抱えの魔導士を連れてこの町を去りました」


{ギザ十の価値がここまで落ちているとは私も勉強不足だった済まぬ和也}


「貿易補給港で作物が取れないとなると、貿易船は立ち寄りません、外貨も入りませんし、物資も滞ります、加えて富裕層の避難でこの町に残るのは貧しい者ばかりになってしまった、取れるのは魚と塩、塩を作るときに真水も取れますがとても町民を賄えるものではありません」


「それで・・僕たちもこの町が一番近いので、いろいろ相談したいこともあります、まず・・・牛乳が欲しいのですが手に入りませんか?」


「飼っていた牛は死んでしまいましたが、雨が降れば草も生えます、野生の牛が来ればそれを捕まえて家畜化できれば牛乳も取れましょう」


「鶏とかはいませんか?」


「鶏ですか、若干ですが残っています、生きているものを届けさせます」


「砂糖とかは?」


「砂糖ですか・・・貿易船が来てくれれば手に入るかもしれませんがいつごろになる事やら」


「あ!甘い物なら心当たりありますよ」

梅が言う


「どんなの?」


「キラービーにハチミツを集めさせればいいんじゃないかな?」


「しかしキラービーは危険ではないですか?」

シラクサさんが梅に聞く


「私はデーモンスパイダーですキラービーは私の言うことは聞きますよ」

そう梅ちゃんが微笑んだ


相変わらずかわいい・・・


「キラービーのハチミツはそれだけで薬です、栄養失調の子供にもいい、是非取引してほしい」

シラクサが喜ぶ


「ハチミツって子供にはだめでなかったけ?」

美菜がいう


{否!キラービーのハチミツは殺菌作用が強い!ボツリヌス菌など繁殖できない、蜂蝋も塗り薬にも使えるくらいである}


「キラービーのハチミツは大丈夫らしいよ、殺菌力が高いって」


「ふーん!じゃあ卵と牛乳が手に入ればプリンもアイスも作れるね」


「プリン?アイス?なんですかそれは」

シラクサが不思議そうに聞く


「とっても美味しんだよ」

美菜が胸を張ってこたえる


「とりあえずこの町には食料も水もすくないんだろう?和也、美菜、明日からあんた等働いてもらうよ!」


「え~」


「まじか~」


{和也、人助けも勇者の仕事}


ちぇ!めんどくさいなあ


************


美恵は称号『女神』を得たカリスマ性が大幅アップ

    治癒魔法『皮膚蘇生』を覚えた

        『病状把握』を覚えた

    二つの魔法は一体化し『ハイヒーリング』を覚えた

    水魔法 『水蒸気支配』を覚えた

        『雨雲形成』を覚えた 

    二つの魔法が一体化し称号「女神」の効果で『女神の祝福』を覚えた

        美恵が降らせた雨で育った作物は枯れにくい、育ちがよくなり栄養価も高まる、土の魔力も上る  


康江は 空気魔法『空気圧縮』を覚えた 

    

和也 勇者Lv7

 スキル「パソコン」lv80

     剣技短剣 lv2

美菜 格闘家lv11

 スキル 「飛び蹴り」lv1

和義 戦士 lv50

 スキル 武器「チェーンソー」

     剣技 lv10

     剣技短剣 lv40  

美恵 賢者 lv45 称号『女神』

 スキル 風魔法「エアカッター」lv25

     水魔法「女神の祝福」 lv1

     治癒魔法「ハイヒーリング」 lv5

康江 魔法使い lv95

 スキル 火魔法「火球」lv87

     土魔法「形成術」lv60

     光魔法「サーチライト」lv40

     空気魔法「空気圧縮」lv50

ミーニャ 化け猫 lv5

タロ 犬 lv3 

    「逃げ足」lv8  

梅 魔蜘蛛 lv12

 スキル 「萌」lv12 和也の理想により習得

     粘糸 

     鋼糸

     擬人化



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