第35話 やっぱり俺って最強じゃね?

 緊急、緊急、上空より正体不明の物体が落下中の為、緊急シェルターを展開します。


 ウイイイン………ガシャン……


 ヒューーーーーンッッッ!!


 スドオオオオオオ!!!


「うわああああ!」


 嘘だああああ!!!?? つ、月の衝突を防ぎやがったあの国!! 月が木っ端微塵になるほどの衝撃なのに!!


 ッチ……まぁいいや。月戻しとこ。


 ぱちっと指鳴らしてはい元通り!


 さて、闘技場いこーっと。


 うわぁーやっぱ闘技場ってデケェええ……ほんと何処の闘技場もコロッセオみたいな楕円形だよなぁ……もっと星形でも良いのに……。


「そこの者とまれえぇい! 観戦か!? 参戦かぁ!?」


 テンション高えなこのおっさん……。参加するにきまってんだろぉ!?


「ったりめーだ。参加するよ。で? どうやって参加すんの? 早速殺して良い?」


「違あああう!! 全く参加者は皆血気盛んだなぁ!? 先ず闘技場のルウウウルを説明するぅ!」


 あ、はいはい?


 闘技場のルールは多分下に書かれてると思う。


1.此処の闘技場は、トーナメント戦でも勝ち抜き戦でもない。対戦相手指定式だぁ!


2.対戦相手は先ず自分の賭け金を決めろぉ! 対戦相手は相手が自分で賭けた金額から決める。そして報酬は相手の賭け金の10倍で統一するんだ!


3.対戦中のルールは勿論、相手が死亡する、戦闘不能又は、リタイアするまでぇい!


4.以上のルールさえ守れば、後は何でもあぁありぃいい! 手段は何だって良い!


 だそうだ……ルールでも何でもねぇな。意図的に破れる様なルールじゃねぇし、破れねぇルールならそもそも守る必要は無いって事だ。闘技場ぶっ壊すつもりでもオーケーって訳だぁ……。


 さぁてぇ? 幾ら賭けようかなぁ? ざっと1億ぅ?


 ガチャン……。


 で、対戦相手を選ぶんだったな……先ずは小手調べに……。


 ヤマダ・タロウ

 賭け金:500コルド

 これが私の全財産です。私は不戦勝するつもりなので誰も狙わないで!


 いやいやいや!? この人馬鹿かよ!? 全財産に不戦勝するつもりってそんな説明書くから狙われるんだろおがああ! 俺が手加減無しで捻り潰してやるッ!


────────────────


『さぁ今日も始まったぁあ!! 相手が死ぬまで終わらない地獄の闘技場!! 司会と解説はこの私だぁ!この私は何者だって!? それは第2章7話にて、最上が発動したダークマターキャノンを一瞬だけ解説した張本人だぁあ!!』


 お前かよ!? 時空乗り越えて来るんじゃねぇよ!!


『私はお前じゃないッ!! これから私の事はカルディア・インベルト・セバル・ツヴァイと呼んで貰おう!! 略してカイセツと呼ばれているぅ!』


 あー面白い。面白い。てか略さない方が普通に良い名前だと思うだけど……。


『さて私の小言はどうでも良いとして! 早速今回の対戦相手の紹介だぁ……。最初に!1億コルドを自分に掛けた命知らずの馬鹿! 最上稟獰!! 対して……全財産を賭けておいて不戦勝と言いふらす自殺志願者! ヤマダ・タロウ!!』


「誰が馬鹿じゃコラァああ!!」


「ひぃい……誰も狙わないでって言ったつもりなのにぃ……なんで狙われるんだぁあ……お願いだ……殺さないでくれ……」


「すまねぇなおっさん……手加減してぇけど……俺の破壊衝動が抑えられねぇんだ! てめぇのあり金吹っ飛ばしてやるよぉ!!」


『両者昂った所で対戦始めえぇ!!』


 先手必勝!!


月華晦冥げっかかくめいげき


『おおっーと! 此処で最上の先手! この闘技場を月の落下で潰そうとした技の『撃』バージョン!! 恐らく人体を目的とした技なのだろう!! しかーし! 威力は月を落とした技とほぼ同威力! それなりの耐久力が無ければあああ!?』


 ズバァッン……!!


「ひぃっ!? ぎゃあぁっ………!」


『断末魔を聞き届ける事も無く対象は消滅ッッ!!』


 いやっほおぉう! 決まったぜぇ!!


『何という速さだぁ! 勝者は最上ぃ! 賭け金の10倍、5000コルドを与えよう!!』


「まぁ、まだこれはこの世界の小手調べだな。1億も賭けてんだからもっと強え奴来ねえかなぁ?」


 なんて事考えてたらなんだか観客が騒がしいぞ〜?


『おおーっと! ここで乱入参加ぁ! 目をつけた奴は死ぬまで追いかけ回す激ヤバストーカー!』


 うっわ……ガチ目の犯罪者じゃん……言っとくが俺は違うぜ? 証拠何も全て隠滅出来るからな……。そう、滅して隠せるから。


「てめぇは馬鹿だなぁ!? 俺様に目付けられたら終わりだぁ! ヒャハハハハ!」


「馬鹿なのは残念ながらお前の方だ。この俺が無駄に金を賭ける馬鹿だと信じて挑んじまった事がなぁ! あんまり人を見た目で判断しない方が良いぜぇ!?」


 行くぜ! 先手必勝!


月華晦冥げっかかくめいッ!!」


『なんと次は目にも見えぬ衝撃波で的を消し飛ばす『破』だぁ!!』


「見えるッッ!」


 あれ……居な……い? ウワー……首からいつの間に血しぶきが上がってるー。普通ならコレ即死なんだろうなぁ……だけど俺には意味無いんだよなぁ……俺の自己再生能力は、伊達じゃ無いぜ!!


 首を切った瞬間から俺の首は一瞬にして完全修復する! つまり! 血しぶきはただ飾りィー……。


 しかしどこいったんだ?アイツ? 俺のクビ斬ったのは分かるけど……。


「俺様は此処だぁ……影斬り!」


 ぐわっ! コイツ俺の影に潜んでやがった!? ならこれでもくらいやがれぇ!


分身消滅本体の魂を分身に移動させてから元本体を消滅!」


これで本体の影にいた奴は諸共消滅する筈だぁ!


「んなっ!意味の分からねえ技使いやがってぇ!! 空間裂残くうかんれつざん!」


 おー、おー、見える見える……闘技場全体に超細い鉄糸を張り巡らせてんのね……で? これを触ると……? うっわ……血出たわ……どんだけ鋭いんだコレ……。


 しかーし! こんな糸に意味は無い!


糸切鋏ラインカットっ!」


 チョキチョキチョキ……あ〜良く切れる……。


「てっめぇなに勝手に糸切ってんだぁ!! もう許さねぇ……てめぇは何処の世界から来たか分からんが……この世界の怖さを教えてやるよ……月影げつえい……」


 んー? わぁ……なんか黒い球体のオーラが闘技場全体を囲んだね……あーなるほど。理解した。この中って多分時間がめっちゃ遅くなってるパターンね。しかし俺にはそんな技は効かない! 時間操作&概念改竄は無効だからなぁ!? ハッハッハッハ!


「俺の刃で木っ端微塵となれ! ウオオオオオ!!」


 なんか決め台詞みたいなの言っているけど格好悪いなぁ……ここは懐かしい技で吹き飛ばすか……。


壊滅破オーバーカスタトロフィーッッ!!」


 ズッバァアァン……!!


 俺の手から放たれる衝撃波は、コイツの時間操作空間を貫通して、観客席まで吹き飛ばすッ!!


「なっ!? 嘘だろ!! ………ぐあああああ!!!」



『ここで試合終了〜!! 激ヤバストーカーが放つ空間の時間を1000分1まで圧縮する技を最上は、自分の特性を生かして、衝撃波技に時間操作無効を付与して相殺!!全く両者共々滅茶苦茶だぁ!!』


 えーっと乱入者の賭け額はっと……2億5000万!?!? え? あいつそんな大物だったの? んー、大した事無かったけどなぁ……と言う事は10倍で……25億コルド………! ぶっ飛んだなぁ……。


「まだ……終わって……ねぇ……ッ!」


 ドウウウウン…………


 ん? ……あれ? ……身体が動かない……? あれ? 概念無効の筈なんだけど……って考えてたら、激ヤバストーカーが俺の首をぶった斬りやがったぁああああ!!


「覚えておけ、俺の名前はミクトラン・テオだ……ま、首斬られた今じゃ覚えらんねぇか……ククク……」


 なんかアイツ自分の名前言い残して言ったけど、俺の首は確かに完全に離れて、血がドバドバ出てんだよなぁ……。


 まぁ……拾えば問題無いよな。うん。


 合体!


 グアァアがうううあああ!!! 首が繋がる瞬間のこの今まで感じた事のない違和感んんん!! スケルトンみたいな骨の奴らって首取れたら毎回こんな気分なのかな……。

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