第19話 殺し、ダメ、絶対
「あら、可愛い子ですね。貴族の方ですか?」
「あぁ、『護衛』してきた。決して誘拐では無い」
「ちょっと! どうしてくれるのかしら? 私、ディズマル家は、私を探す為なら手段は選ばないわよ?」
手段を選ばないか……俺も手段選んだ事ねぇなぁ……。ま、俺を殺しに来るんならそん時はそん時で。
「ふーん……で? 次の依頼は?」
「これはこれは面白い依頼がきてますよ〜。ちょっとギルド依頼違反に触れているんですが、最上さんなら何とかなるでしょって思ってえへへ……」
「無視するなあああ!」
「えーっと……『ディズマル家教育係の者です。1時間前程にディズマルのお嬢様が誘拐され、捜索願いを出した物の一向に見つかる気配がない為、こちらに依頼をさせていただきました。ディズマル家の掟で、邪魔者は死すべしという教訓があり、誘拐者を発見次第排してください』だそうですよ?」
早速来たあああ!! 仕事はええええ……。
「ほらね! 貴方はもうじき殺される運命だわ」
「ふーん。殺せるもんなら殺してみろって感じ?」
「残念ながらそう調子乗ってるのも時間の問題よ? きっとあの人なら全世界のギルドにこれと同じ物を配っている筈だわ」
良し、やられる前に潰すか! とりあえず驚く演技して……
「なんだと? おいおいマジかよ……そりゃねぇわ……」
「最上さん! 何かは手はあるんですか?」
「依頼を手紙で返信する!」
「了解しました! すぐに手配しますので、こちらの紙に書いて下さい!」
うし! んじゃ思いっきり喧嘩売るとしますか!
『消されたく無ければ王都ラングザームの前に絶対来るな。良いか? 絶対に来るなよ? 来たら木っ端微塵だからね? これ脅しじゃなくてマジだから! 俺人殺しとかマジ無理だから! 俺の噂知ってるなら尚更やめた方が良いぜ!?』
絶対来るなよ? 作戦。この言葉を見た聞いた者は、逆の行動をしたくなるという、人の心の裏をかいた古代より伝わる至高であり最高の作戦だ……フハハハハ!
一方、ディズマル家・・・・・・・
「何だ? この手紙は……我々がこんな手紙に引っかかるとでも?」
「全く相手は子供なんですか? なんなら相手は楽ですね。此処はわざと引っかかって見ますかね?」
「そうだな! 木っ端微塵だとか、Dランク冒険者の噂だとか、馬鹿馬鹿しすぎる! 我々をおちょくるのも良い加減にしろ!」
「全兵士を動員させるぞ!」
・・・・・・・・・・・・・・・・
フンフフン♪ あ〜来るかな? 来ないかなぁ? 楽しみで仕方が無いぜぇ〜
ま、来ても来なくても先手必勝でぶちのめすつもりだからな!
方法は簡単。プラズマ超圧縮砲をぶっ放せば良い。そしてそれを今からチャージしておく。って言ってもチャージ無しで即発射もできるんだけどね。チャージなんてしたら威力と射程が伸びて、ディズマル家の国も纏めて吹き飛ぶだろうな!
「見えたぞ! あいつか……ん? 待てよ? なんか力溜めていないか?」
へっへっへー……ご名答。手から打ち出す系の技の中では最高威力なんじゃねぇかな?
「怯むな! 全員で叩きのめしてやれ! 全軍突撃ぃ!」
一人相手にお疲れ様。あーでもねぇ、未だにずっとチャージしてんだけど、技の名前変わるかも知れんわ。
よぉし……そろそろ近づいて来たな……
「行けえええ! うおおおお!!」
行くぜ! 手から放つ系最終奥義!
『
キュイイイイイイン!
ッッッッ!!!(無音)
うおおおっ!? やっべ威力高すぎて鼓膜破れたこれ? いや、微かに兵士の断末魔は聞こえるが……ま、いいか!
・・・・・・・・・・・・・・・・
「うわあ"あ"あ"あ"あ"あッ!!!」
うるせえええええ! お前らの断末魔で鼓膜破れるわっ!
それもその通り、このダークマターキャノンは、空気中の粒子をエネルギーとし、発射するとダークマターキャノン自体が周囲の音、重力、生物、色、況してや概念そのものを吸収し威力を増大させながら発射される為、人体が受けるダメージは計り知れないのだッ!
へぇ〜そうなんだぁ……ってお前誰?
私はこれから君が技を出す度に解説ッ………。
いらねぇよ! うしっ! 消してやったぜ!
「なんてこったい……マジで全部消しやがった……」
ディズマル家の国丸ごと消滅。最早壊れた形跡、瓦礫一つすら残っていない……。いやぁ、とんでもないねっ!
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