手足(19/02/14 改訂)

「短い手足のあいつらしか愛せない」

煙草のように痩せた差出人はうつろな目で

光の無い病院の外を眺める


口の中で呟いてみる


mi ji ka i te a shi no ……


音はすべて雲量5の

秋晴れの空に溶ける


窓外で起こる

湿った咳 怒鳴り 嬌声を

自分のものと数えてみる


音はすべて

雲量5の空に溶ける


冷たく優しげな 空っぽの手紙と

分かり合えぬ人々

何の壁もない彼らが営む

あざやかな生活 生活 生活!……


ぼくは死んだ目で手紙を見ている

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る