うつつで輝けないのなら夢で輝けば良いじゃない

なつちやんじゆーす

第1話

『まだ起きないで、』


私の膝枕で寝ているカレが、私に手を伸ばして

私の顔に触れた。いや、触れてないのかもしれない。だって悲しいことに、そこに感触は感じられなかったから。


「咲、起きろー。学校遅刻すんぞ」


彼氏いない歴=年齢。

そんな私にとって、夢で男の人とイチャイチャする夢を見た後は、必ず虚無感に襲われる。


「あと10分寝たい〜」

「お前の10分は1時間だろ」


お父さんの声が階段下から聞こえる。

ほんとにこの声が聞こえるたびにうんざりしてしまう。


「せっかく良いところだったのに…」


高校の制服に身を通しながら夢を思い出す。


最近、カレの夢をよく見る。

黒髪で、前髪は少し目にかかってるくらい。

身長は私よりも大きいくらい。

そしてイケメン。


会ったことはないし、どこの誰かもわからないけれど、ずっと彼の夢を見てるから、気になって気になってしょうがないのだ。


「あんなイケメンと付き合えたらなあ」


自然と頬が緩む。

だって、よく考えたら、ベッドに入って目を閉じれば、カレに会えるのだから。


パジャマのズボンを脱いで、スカートを履こうとすると、両方の太腿の真ん中あたりが

赤くなっていた。

ペットを飼っているわけではないし、

掛け布団の上に物をおいて寝ているわけではない。


「変なの…」


少しびっくりしたけれど、別に痛いわけでもないから、そのまま私はスカートに足を入れた。

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うつつで輝けないのなら夢で輝けば良いじゃない なつちやんじゆーす @natuka_fortou

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