お前の事情!!

スイ

第1話。嫌な男

 俺が通う会社は日本の屈指の広告代理店だ。

「もうすぐ角倉企業から来るからちゃんと

 会議室でミティングあるから準備してけよ。」

「はい、はーい。分かりました。」

(池田さんだろうな。)

「はいは一回だけでいいんだよ。」


 かちゃっ

「こんにちはーうっ」

 ドアを開いた鷹野は瞬間立ち止まってしまった。

(なんだ。なぜだ、なぜあいつがここにいる。)

「あっ、何とぼけてるの。ぶつけたじゃないー」

 今、俺の目の前に立ってるあの男は俺が世界一番嫌いなやつだ。

「あれ?エ、いや、柊木ひいらぎさんじゃないーお久しぶりー。」

「あ、武川たけがわさん。お久しぶりです。」

「外国からお戻り?」

「はい、先週、戻ってきました。」

「そうだねーー2年ぶりかなー」

「そうですね。2年ぶりですね。」

「元気にしてたの?」

「はい。お陰様で・・」

 柊木は武川に向いてニッコリと笑っている。

(チェ、、色男かよ・・)


「ところで池田いけださんはどうしたの?」

「あ、すみません。池田さんは交通事故で入院中ですので

 僕が代わりに参席しました。」

「あら、残念、、」

「がこれから僕が担当することになりました。

 今後もどうぞよろしくお願いします。」

「そうなの??」


(武川さん、笑ってますよ、、池田さんなんかどうでもいいですか?!)


「池田さんのことは残念だけどね、、

 おかげさまでこんなに柊木さんに会えたのねー」


 会議中、

 チラリ

(あいつが嫌い、、優しそうな笑顔、魅惑される色っぽい泣きぼくろ・・

 気に入らねー)

 皆の前でプレゼンテーションしている 取引先から来た柊木のことだ。

(やっぱ気に入らねーー)

 ギリッ

 ビクッ

 ビックリした柊木は一瞬、顔に血の気がさした。そしてすこし慌ててる様子だ。

(フッ、ざまあみろ。未熟な、、ッ、、いてッ)

 いきなり足元から痛みを感じられた。武川だ。武川が鷹野の足を踏んでいる。

「何するんだよ。やめろ鷹野たかの!!」

 柊木のことを嘲笑っっていた鷹野の足を踏んだ武川は目は前の柊木を

 見つめながら鷹野だけに聞かれるくらい小さな声で言っている。

 武川は腹話術(ふくわじゅつ)に上手なのだ。

「は、はい!」

 鷹野は自分も知らずに柊木を睨んでいたようだ。それを気付いた武川に

 叱られてしまったのだ。

(武川さんにも見られたか、、そうだ。俺はあの男が大っ嫌いだ。

 世界の誰よりも・・相手を誘惑するように色目を使う醜い顔を

 しているあいつが大ッ嫌いだ。口から出るあの声にへどが出そう。

 そうだ。あいつは俺の元恋人!俺は2年前、あいつに散々に裏切られた。

 俺はあいつを絶対許さない。あの時のことは絶対忘れられない・・

 今だにも・・)








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