第104話 悪い知らせ?

 ソーラ様号を修理した翌日。

 今日はおじいちゃんに呼ばれて、ヴェーゼ本部の中央指令室に向かってるよ。


「おじいちゃん、一体なんの用事だろうね?」


「そうですね……ボケてきちゃって、理由もなく呼んだとか?」


「きっとギックリ腰だニャ! ダークマターで治してほしいんだナ」


「チコタン! ミィシャン! それはちょっと酷いですわよ!!」


 うん、流石に今のは酷すぎるよね。

 そこまでご老人じゃないんだから、むしろ若返ってるんだからさ。

 女の子に囲まれてイチャイチャしたいとか、きっとそんなんだよ。


「……ソーラも失礼なことを考えていますわね?」


「ギクリッ……あっ、中央指令室についたよ!!」


 チコタンに続いて、エルリンにまで心を読まれるなんて。

 私ってそんなに分かりやすいのかな?

 

「……誤魔化そうとしていますわね?」


「ギクリッ……そんなことないよ、お邪魔しまーす!」


「おや、いらっしゃいお嬢ちゃん」


 わぉ……おじいちゃん、また若返ってるね。

 若返りすぎてて、ちょっと不気味だよ。


「わざわざ来てもらってスマンのう、お嬢ちゃんに知らせたいことがあってのう」


「うん? 知らせたいこと?」


「お嬢ちゃんの体の場所を、スプリィムから聞き出したのじゃ」


「えっ、ホント!?」


 私のために調べてくれてたなんて、ありがとうおじいちゃん。

 そして、失礼な妄想をしてしまって、ゴメンねおじいちゃん。


「それで、私の体はどこにあるんだろう?」


「ふむ……落ちついて聞くのじゃぞ」


 え……落ちついて聞く?

 もしかして悪い知らせ?


「お嬢ちゃんの体は、第二ウェーブにあるようじゃ」


 ふーん、第二ウェーブか……。

 ここは第三ウェーブだから、お隣さんかな?

 ってことは結構近くだよね。よかった、悪い知らせじゃなさそうだ。


「そんなっ! 第二ウェーブということは、“境界嵐”の先ではないですか!」


 ん? 境界嵐?


「“安定座標”の場所は分かるのかナ? 近くかニャ? 遠くかニャ?」


 うん? 安定座標?

 なんだか嫌な予感、やっぱり悪い知らせかも……。


「あのー……ちょっといいかな?」


「どうしたのじゃ、お嬢ちゃん」


「第二ウェーブって第三ウェーブの隣じゃないの? 宇宙船でピューンって飛んでいけないのかな?」


「「「「え……?」」」」


 あ……この反応……。

 ピューンって飛んで行けないパターンだね……。


「そうでしたわね。ソーラは地球人ですから、境界嵐も安定座標も知らないのですわね」


「うん、まったく知らないよ」


「つまりじゃのう、ダークマターの波と波の間は次元と概念の嵐でのう──」


 じげんとがいねんのあらし……。

 うーん、早速分からない。


 とりあえず、悪い知らせだっていうことは分かったよ。

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