第100話 いつまでも一緒

 時刻はすっかり夜。

 夕食も食べて、すっかりお腹いっぱい!


「ふニャ~。満腹だニャ~」


 今日の夕食は最高だったな。

 何しろチコタンとエルリンの手作りだったからね!


「チコタン、エルリン、とっても美味しかったよ!」


「ソーラは何を出しても美味しいと言ってくれますね、今度は珍味でも出してみましょうか?」


「あらチコタン、それは面白いですわね。だったらフローン三大珍味の──」


 何やら恐ろしい会話を聞いてしまったような……。

 気のせいにかな……そういうことにしておきたい……。


「さて、ワタクシ達もゆっくりしましょう」


 みんなでのんびり~、ゴロゴロ~、だらだら~。

 あぁ……とっても幸せな時間だ……。


「四人でゆっくり過ごすなんて、初かもしれませんね」


「フローンに到着してからは、ずっとバタバタしてたからナ」


「みなさんと出会ってから今日まで、本当に色々ありましたわね」


 ホントにね、大変な毎日だったよ。


「覚えていますか? 本部への突入の時、ソーラ様号に穴が空いてしまったんですよ。あの時は死んじゃうかと思いました」


「スプリィムとの戦いも大変だったニャ。ソーラの分身はやられちゃって、ボク達は全然敵わなくてナ……厳しい戦いだったニャ」


「スプリィムの奥の手は恐ろしかったですわね。そのあとソーラの体と戦いになって、もうダメかと思いましたわ」


 激しい戦いの連続だったね。

 この四人じゃなければ、どこかで負けちゃってたかも。


「ようやく勝てたと思ったら、今度は本部の倒壊ですよ……次から次へと大変でした」


「地下施設でソーラが倒れた時は、もの凄く心配したニャ~」


 こうやって聞くと、私達ってよく死ななかったよね。

 いつ死んでもおかしくない状況ばっかりだ。



 ……。



「ソーラ? 先ほどから静かですね」


「うん……ちょっとね……」


 いつ死んでも……か……。



 ……。



「あのね、三人に話しておきたいことがあって──」


「はい、もちろん嫌です」


「──えっ、チコタン!?」


 どういうこと?

 どうして今、私は断られたんだろう?


「ここから先はついて来なくていいって、そう言おうとしてますよね? もちろん嫌ですよ」


 ギクリッ……なぜバレている……。

 チコタン、やっぱり私の心を読む能力を身につけてる?


「いや、あのね……これからも体を探し続けるって言ったら、きっとみんな力を貸してくれるよね? それはとっても嬉しいんだ……だけど……」


「だけど、なんですか?」


「だけど危険な目にあわせちゃうかもって、そう考えたら……怖くなっちゃって……」


 もしかしたら死なせちゃうかも……そう考えたらホントに怖いよ。


「なんだ、を考えていたのですか?」


気にしなくてもいいニャ!」


「そうですわね、考える必要はありませんわね」


「ちょっと! って……私は真剣に考えてるんだよ?」


 それなのに三人とも、なんだか酷い言い方だよ……。


「そうですね……でしたら、いい解決方法を教えますよ」


「いい解決方法?」


「はい、私達を危険な目にあわせたくないなら、もっと強くなって私達を守ってください!」


「うナ! その代わりボク達も強くなって、ソーラを守るんだニャ!」


「ソーラはワタクシ達を、ワタクシ達はソーラを守る。あら、これって無敵ですわ!」


 えぇ……う……うーん……。

 それは……確かに解決するかもしれないけど……。


「あのね……そんな簡単な話じゃなくてね……」


「そうですか、ではもっと簡単な話をします」


「もっと簡単な話?」


「私はソーラのことを大好きです。どんな危険な目にあっても、ずっと一緒にいるつもりです。だから離ればなれになるなんて、は考えません」


「ボクだってソーラのこと大好きだニャ! この先もついて行くつもりだニャ! 一緒にいられない理由なんて、考えるだけムダムダだニャ」


 チコタン……ミィシャン……。


「あの……実はワタクシも、ソーラ達と一緒に宇宙へ出ようと思っていますの」


「嘘っ、ホントに?」


「ソーラはフローンのために戦ってくれましたわ。ですから今度はワタクシが、ソーラのために戦いたいのですわ」


「私のため……」


「っていうのは建前ですの! ワタクシもソーラのことを大好きですのよ、離ればなれなんて絶対に嫌ですわ!!」


 エルリン……。


「ですから、一緒にいられない未来なんて、考えてませんのよ」


 あ、これムリ。

 泣いちゃう。


「うぅっ……チコタン……ミィシャン……エルリン……」


「ありゃリャ? 涙でグチャグチャになってるナ」


「ソーラでもそんな風に泣くことがあるのですわね」


「たまにソーラは号泣しますよね」


「ひっく……だぁってぇ~」


「ほらほら、いつまでも一緒にいますから、泣かないでください」


「そうだニャ! いつまでも一緒だニャ!!」


「そうですわね! ワタクシ達はいつまでも一緒ですわ!」


「うん……うん……っ」


 ありがとう……チコタン、ミィシャン、エルリン。


 私も三人のこと、大好きだよ!


 私達は……いつまでも一緒だ……!!

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