第93話 思いの力

「よし、ワシ等も準備じゃ! スプリィムよ、装置の設定を──」


 作戦は決まった!

 装置の方はおじいちゃん達に任せて、私はダークマターに集中だ!!


 エルリンとの特訓を思い出して……しっかり意識を集中するの……。

 ダークマターの粒を……一粒一粒を意識して……。

 ダークマターと繋がるイメージで……。


 雲を超えて……。


 空を超えて……。


 星を超えて……。


 どこまでも遠くまで……宇宙の彼方まで……!


「お嬢ちゃん、装置の準備は完了じゃ!」


 よし! いくよダークマター!

 宇宙で一番暗くて……宇宙で一番明るい輝きを見せてやろう!


「輝け! ダークマター!!」


「うナナッ!? 眩しいニャ~!」


「ひゃわわぁ! なんですかこれは~!? 揺れてますぅ~、輝いてますぅ~!!」


「なっ、なんて凄まじいダークマターですの!?」


 凄い……! 

 今までとは比べ物にならないくらい、ダークマターで満たされていく。


「なんという強力な……そして温かいダークマターなのじゃ……」


 私の思いに……みんなを助けたいっていう思いに、ダークマターが共鳴してるんだ。

 私は今、完全にダークマターと一体になってる!

 いける! 今の私なら、みんなを助けられるよ!!


「いくよ! おじいちゃん!!」


「よしきた! 変換装置を動かせぃ!!」


 お願いダークマター!

 住民のみんなに、命を! 希望を! 未来をあげて!!


「ポカポカするニャ~! ソーラの心の温かさだニャ~!」


「ダークマターが渦を巻いて、装置に吸い込まれていきますわ」


「地下にいるはずなのに、昼間みたいに明るいです!」


 フローン……ラハル……ミィシャンのいた星……。

 どんどん意識が広がってく……どんどん力が集まってくる!


「モニターを見てください! 生命力が戻っていきます!!」


「凄いですわ! 一瞬でこんなにも……!!」


 もっともっと! もっと集まれ!

 私の力を……私の思いを、みんなに届けて!!


「その調子です! 頑張ってください!!」


 まだまだ! まだいけるはず!!

 もっと力を! みんなを救うための力を!!


「もうちょっとだニャ! 頑張るニャ!!」


 分かる……みんなに生命力が戻っていく……。


「あと少しですわ! 頑張って! ソーラ!!」


 あぁ……装置を通じて、みんなと繋がっていく。

 とても深く……心の奥から繋がってる感じだ。


 みんなの意識が……戻っていく……。

 みんなの思いが……私に届く……。


 まるでフローンの住民全員と、ダークマター融合しているみたいだよ……。


「民の生命力──ったぞ! ──じゃ!」



 もう大丈夫……。


 これで……みんな……。


 無……事に……。



「やりま──わ! ──様と母様も助か──し──」


「ソーラ──ったニャ! 凄かった──」


「ホント──ーラは……ソーラ?」



「あ……あれ……?」


 声が……遠い……。


 なん……か……。


 意識……。


 が……。

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