第70話 分断

「う……うぅ……」


 痛たた……頭を打っちゃったみたい……。

 えっと……確か、本部に突入しようとして……。


「そうだ! 本部に突入だ!!」


 スプリィムのバリアーを突破して、でも止まれなくなって。

 宇宙船ごと、本部に突っ込んじゃったんだ。


 壁が壊れて、ケーブルが飛び出してる。

 パイプみたいなのも飛び出してて、虹色の水が噴き出してるよ。

 突入の衝撃で壊れちゃったんだね。


「あれ? みんなはどこに……?」


「ソーラ! 気がついてよかったですわ」


「エルリン、無事だったんだね!」


「えぇ、お互い無事のようですわね」


 ふぅ、姿が見えなかったから心配したよ。

 とりあえず安心かな。


「チコタンとミィシャンはどこにいるの?」


「二人は……分かりませんわ」


「分からない!? どういうこと? どうしていないの?」


「突入の衝撃で、宇宙船に穴が開いたのですわ。ワタクシとソーラは、その穴から放り出されましたの」


 全然安心じゃなかった、大変だ!


「宇宙デブリを放棄したせいですわね……。宇宙船を守るものがなくなって、衝撃に耐えられなかったのですわ」


「そんなことより、早く二人を探さなくちゃ!」


「落ち着いてください、慌てても二人は見つかりませんわよ」


 う……それはそうだけど。

 でも、じっとしてられないよ!


「どうしよう? どうしたらいいかな? どうするべき!?」


「そうですわね……元々の作戦通りに動くべきだと思いますわ」


「作戦通りって……」


 元々の作戦だと、まずはエルリンのおじいちゃんを救助だよね。

 おじいちゃんはダークマターの使い手らしいからね。おじいちゃんの力も借りて、一気にスプリィムを倒す予定だったはず。

 でも……。


「チコタンとミィシャンはどうするの? まさか放っとくの?」


「そうではありません。ワタクシ達は作戦通りに動きながら、同時に二人も探すのですわ」


「同時に? 私とエルリンで別行動をするってこと? そんなことしたら……あっ!」


 そうか、別行動なんてする必要ない。

 私だったら、二つのことを同時に出来る!


「分身を使うんだね!」


「その通りですわ。分身を使って手分けすれば、作戦を進めながら、二人を探すことが出来ますの」


 エルリン凄い、頭いい!

 落ちついてるし、頼りになるね。


「ソーラの本体は、ワタクシと一緒におじい様の救助ですわ。分身はチコタンとミィシャンの捜索をお願いしますの」


「そうだね、私とエルリンがはぐれちゃうのもよくないもんね」


「その通りですの、冷静になりまして?」


「うん、お陰様で!」


 チコタンもミィシャンも、きっと無事なはず。

 二人を信じて、出来ることをしっかりやろう。


「ではいきましょう」


「うん、行動開始だ!」

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