第43話 お礼

「ソーラ、もうすぐ出口だニャ」


「あと少し、頑張ってください」


「うん……」


 子供達の救出は成功、あとは地上に帰るだけ。

 この長い階段を登れば出口だね、光が見えるからあと少しだ。

 助けた子供達は自分の足で歩いてる、無事に回復してくれてよかったよ。


 で、私はというと、チコタンとミィシャンに両脇から抱えられてる。

 ちょっと恥ずかしいけど、そんなことより幸せが上回っちゃっててね。

 スベスベでモフモフで、両サイドが凄く気持ちいい……幸せだ……。


「出口に到着です!」


 あぁ……もう出口か……。

 もう少しカワイイのサンドイッチを堪能していたかったけど、まあ仕方ないかな。

 とにかく無事外に出られたことを喜んで──。


「って、ええぇ!?」


「ひゃわわっ、凄い数です!」


「これはなんの騒ぎだニャ!?」


 何これ? 凄い人だかり。

 見渡す限りの人人人。じゃなくて、宇宙人宇宙人宇宙人。

 大量の宇宙人がヴェーゼ本部のタワー前を埋め尽くしてる。


「見ろ、出てきたぞ!」


「あの子が例の子か!」


「子供達も一緒だわ!」


 いやいや、なんでこんなに注目されてるの?

 これだけ宇宙人に集まられたら、恐怖でしかないんだけど……。


「こらっ、静かにせんか!」


 あ、あのおじいちゃん見覚えがある。

 私達を追い返そうとしてた、性格激悪のおじいちゃんだ。


 また何か文句でも言いにきたのかな?

 今はそれどころじゃないんだけど。


「お嬢ちゃん達……」


「何?」


「すまなかった! そしてありがとう!!」


「「「「「ありがとう!!」」」」」


 ……はい?


 ええぇ~!?

 突然一斉にお礼を言われたよ、頭まで下げられちゃった。

 ホントに何が起こってるの!?


「ビックリしたニャ」


「一体どういうことでしょうか?」


「お嬢ちゃん達がゲスーチに立ち向かってくれたこと、そして子供達を救ってくれたこと、全て見ておったのじゃ」


「ええっ、どうやって?」


「お嬢ちゃん達の映像と音声が都市中に流れておったのじゃよ」


 そっか、そういえば惑星全土に放映するってゴミクズが言ってた。

 ってことは、マヤマヤのおっぱいを堪能してたシーンとか、チコタンとミィシャンに抱えられて、ほっこりしてたシーンも全部放映されてたの?

 うっわ……超恥ずかしい!


「お主等には失礼な態度を取ってしまった、改めて謝罪したい。そして子供達を救ってくれたこと、心から感謝する!」


「いやいやそんな、別にいいから!」


「そういう訳にはいかぬ、この星の恩人じゃ! 何かお礼をさせてくれんか? 欲しいものはないか? 望みがあれば叶えるぞ?」


 あーもう! 相変わらずこのおじいちゃん面倒くさい!

 どうしようかな……あ、そうだ。


「だったら一つだけお願いを聞いて」


「なんじゃ? なんでも言ってくれ」


「子供達を親元に帰したいの、だから手伝ってよ」


「おぉっ、なんと……なんという……! 自らの願いではなく子供達のことを……まるで聖女様じゃ……!!」


 はいはい、もう分かったから。

 泣いてる暇があったら早く手伝ってよね。


「よぉし! 皆の者聞いたな、子供達を親元に帰すのじゃ!」


「「「「「おぉ~!!」」」」」


 これだけの数の住民が協力してくれたら、子供達もお家に帰れるよね。

 映像が流されてたのは恥ずかしいけど、まあ結果オーライかな。


「ソーラさん、ありがとうございます。ソーラさんのおかげで子供達のことも安心です」


「ううん、私のおかげじゃなくてマヤマヤと皆が頑張った結果だよ。私はちょっとお手伝いをしただけ」


 マヤマヤ達がいなかったらこの作戦もなかったわけだし、マヤマヤ達が本気で頑張ってくれたから私も頑張れたの。

 だからこれは、皆で頑張った成果だよね。


 ヴェーゼを倒すぞ作戦、大成功だ!

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