第30話 大切な友達

「……よし! もう大丈夫!!」


「お疲れ様です、ソーラ」


「ありがとうチコタン、疲れたぁ~」


 今って何時なんだろ……ってもうこんな時間!? 

 ダークマターの訓練、夢中でやってたらすっかり夜でビックリだよ。


「ソーラは凄いですね、作戦会議で話していたダークマターの使い方、全てマスターしてしまいました」


「凄い? そんなことないよ」


「そんなことありますよ。ご飯も食べずにずっと集中して、いつもと違ってカッコよかったです!」


 いやぁ、そんなに褒められても……。

 ん? いつもと違って? なんか引っかかる。

 いつもはカッコよくないのかな? カッコいいじゃなくてカワイイって思われてるのかな?

 きっとそうだよね、そういうことにしておこう。


「ところでミィシャンは戻ってきませんね」


「凄く張り切ってたからね、きっと夢中で武器を作ってるんだよ」


「誰かのために武器を作れることが嬉しかったんですね」


「うん、きっとそうだね」


 赤土の惑星で独りぼっちだったミィシャン。

 誰もいない星で、ずっと武器を作り続けて。

 でも今はもう一人じゃない。

 私がいる、チコタンもいる、マヤマヤ達だっている。

 一緒に宇宙に出てホントによかった。


「……ソーラ」


「うん?」


「せっかく二人っきりなので、少しお話しませんか?」


 うわぇっ!? 

 こんな夜中に! 二人っきりでお話!!

 もしかして愛の告白!?


「元の体を取り戻したら、その後ソーラはどうするのですか?」


 なんだそんなことか。

 いやいや、とても大事なことだよね。

 愛の告白は一旦忘れよう。


「やっぱりまずは地球の家に帰るかな」


「そうですよね、家族は大切ですものね」


「うん、チコタンとミィシャンを家族に紹介するの」


「え!?」


 あら? チコタンの目がまん丸だ。

 そんなに驚かなくてもいいのに。


「でも私達は地球人ではありません、ソーラの家族が驚いてしまいますよ?」


「関係ないよ。どこの星の生まれだろうと、大切な友達であることに変わりはないでしょ? 地球人だとか宇宙人だとか、そんな小さなことはどうでもいいよ」


「ソーラぁ……」


 そんなに潤んだ瞳で見つめられると、胸がドキドキしてきちゃうよ。

 はぁ……チコタン……カワイイ……。


「ソーラ? 突然ボーっとして、どうしました?」


 おっと危ない、変な気持ちになっちゃうところだった。

 ……ホントはちょっとなってたけど。

 とにかく冷静にならなくちゃ。


「なんでもないよ、えっと……ユイタソちゃんの敵をとったら、チコタンはどうするの?」


「私も自分の星に帰りたいと思います、ユイタソの両親にちゃんとお話ししないといけませんから」


「そっか、そうだよね」


「その後は、ソーラを私の家族に紹介したいです!」


「えっ、ホントに?」


 家族に紹介?

 それってつまり両親へのご挨拶だよね?

 結婚? 結婚のご挨拶なの?


「もちろん紹介したいですよ、大切な友達なんですから!」


 ああ、なんて純粋な瞳なんだろう。

 邪念にまみれてた自分が恥ずかしい。


「ミィシャンも一緒です、大切な友達です!」


「そうだね!」


 私達は大切な友達、うちゅ友だもんね!


「うナ~……戻ったナ~……」


「あ、ミィシャンおかえり」


「おかえりなさい、ずいぶん遅かったですね」


「色々作ってたら止まらなくなっテ……気づけばこんな時間になってタ……疲れたニャ……でも凄い武器が完成したニャ!」


 耳も尻尾もぐったりしてる、よっぽど疲れたんだね。

 でも楽しそうだし、満足してるならよかったかな。


「どんな武器を作ったのですか?」


「それ……ハ……むニャ……ニャァ……」


「……寝ちゃいましたね」


「うん、風邪ひかないようにテントまで連れていってあげよう」


 ミィシャンも凄く頑張ってくれたんだね、コテンと寝ちゃったよ。

 お休みミィシャン、ゆっくり眠ってね。


「私達もそろそろ寝ましょうか」


「うん、お互い家族に紹介するためにも、明日は頑張らないといけないもんね!」


「はい!」


 準備はバッチリ! やる気も十分!

 よーし、ヴェーゼを倒すぞ作戦、絶対成功させるんだから!!

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