第31話 変身!
「わぁ……大きいね……」
曇り空に突き刺さるような、銀色の大きなタワー。これがヴェーゼの本部か。
今日はヴェーゼを倒すぞ作戦の当日、しっかり準備したつもりだけど、やっぱりドキドキするな。
緊張で肌がピリピリしてきた。
でも、ここまできたらやるしかない。
頑張れ私、ファイトだよ!
「よし、いこう!」
まずは作戦その一、本部への侵入だね。
といっても、私が提案した作戦は超簡単。
思い切って真正面から、堂々と入っちゃう。
ただそれだけ。
もちろん私が「こんにちは~」って普通に歩いていったら捕まっちゃうから、準備は必要だけどね。
というわけでダークマター、お願い!
んん……。
んんん……。
顔がむず痒い。
顔だけじゃなくて体も、凄くムズムズする。
さてどうなってるかな?
えっと、手鏡……手鏡……。
わお! 見事にゴミカスそっくりだ。
顔だけじゃない、体まで瓜二つ。
このゴミカス、ヴェーゼの戦闘員って言ってたから本部にも入れるはず。
本物は宇宙の果てまで吹き飛ばしちゃったから、鉢合わせる心配もないしね。
名付けて「ゴミカスに変身してゴミの巣窟に侵入しちゃおう」作戦!
それじゃあ早速いってみよう、お邪魔しまーす。
「あ! お疲れ様ですザコッシュさん、随分遅かったですね」
「うっ……うむ……」
「任務の帰りですか? 俺も今ちょうど帰りなんですよ」
「まあ……な……」
危なっ、いきなり話しかけられてちょっとパニクったよ。
しどろもどろになっちゃったけど、なんとか誤魔化せたかな?
声までそっくりにしておいてよかった。
「ザコッシュさんも大変ですね、ゲスーチ様から結構ムチャ振りされてるんでしょう?」
この宇宙人ずっと話しかけてくるよ、ちょっと鬱陶しいな……。
ゴミカスと同じ格好してるし、ゴミ仲間なのかな?
ところで私が変身してるこのゴミカス、ザコッシュっていう名前なんだね。
名前の通りのザコだったね、まあどうでもいいけど。
「俺も大変なんですよ、子供の管理とかの面倒事を押し付けられてて」
子供の管理? ということは子供達の居場所を知ってるのかな?
だったらついでに次の作戦も進めちゃおう。
作戦その二、目的地を発見しよう。
さて早速、集中……集中……。
ふむふむ……。
分かる、コイツの心の中が読める。
子供達は地下、ゴミクズはタワーのてっぺんだね。
私の体の場所は……それは知らないのか、残念。
こうやって敵に気づかれないように目的地を聞いちゃえば、つまり心を読んじゃえば騒ぎにはならないよね。
これぞ「サイレントなテレパシー」作戦!
「ザコッシュさん、ザコッシュさん? 黙り込んでどうかしましたか?」
「いや、なんでもない……では急ぐのでな……」
「はい、お疲れ様でした」
ふぅ、なんとか怪しまれずに侵入成功。ついでに目的地の場所も分かった。
ここまでは順調だね。
よし、次の作戦だ!
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