第24話 笑顔

「待ってくれ! 待ってぶえぇぁーー……」


 おー、飛んだ飛んだ。

 っていうか飛ばしすぎた。

 ホントに宇宙の果てまで飛んだんじゃない?

 空の彼方に消えていったよ、まあゴミカスだからどこに消えてもいいんだけど。


「「ソーラ!」」


「ん?」


「ナイスパンチでした!」


「スカッとしたニャ!」


「うん!」


 チコタンもミィシャンも満足してくれたみたいでよかった。

 私もスッキリしたしね!


「なんじゃ今のは?」


 あ、さっきの態度悪すぎおじいちゃん。

 もしかして今の見てた?


「ヴェーゼの戦闘員をあっさり……お主等は一体……?」


「まだ私達に用があるの?」


「ひぃっ」


 あれ? さっきまで威圧的だったのに、急に逃げ腰になってる。

 もしかして怖がられてるのかな? 

 目の前でヴェーゼの戦闘員を吹っ飛ばしたし、怖がられもするか。


「お姉ちゃん達、お姉ちゃん達!」


「へ?」


「お姉ちゃん達、こっちだよ!」


 この声は……あそこだ!

 路地の奥の暗がりに、フードを被った子供がいる。

 なんであんなところに子供がいるんだろう?


「お姉ちゃん達、早くこっちにきて!」


 おや? よく見たら私好みのカワイイ女の子だ。

 けどあからさまに怪しいよね。


「あの子、私達を呼んでるみたいです」


「不審な感じがするけど、どうするニャ?」


 うーん……どうしよう……。


「お主等、ワシについてきてもらおうか」


 ええ!?

 さっきまで出ていけって言ってたのに今度はついてこいって、急にどういうこと?


「お姉ちゃん達、急いで!」


 女の子からも呼ばれてるし、どっちにいけば……。

 あれ? ちょっと待ってよ、いったん冷静に考えてみよう。


 片方は態度激悪のおじいちゃんでしょ。

 もう片方は私好みのカワイイ宇宙人ちゃん。


 迷う必要ないじゃん、よし決めた!


「女の子についていこう、急いで!」


「分かりました!」


「ソーラがそう言うなラ!」


「お主等! そっちにはいくな!!」


 無視!

 こっちの話も聞いてくれない老人は無視無視!!

 さっさと女の子のところまでいっちゃおう。


「おねぇちゃ!」


 あ、さっき助けた女の子、ラプリーちゃんだったかな?


「おねぇちゃ! たすけてくれてあぃがと!」


「ラプリーを助けてくださって、本当にありがとうございました!」


 わあ、ちゃんとお礼が言えていい子だね。


「じゃあね、ママと仲良くね!」


「うん!」


 あの笑顔が見られただけでも助けてよかったと思えるよ。

 子供の愛らしさは地球も宇宙も変わらないね。

 子供は宝物だ。


「こっち、ついてきて!」


「どこにいくの? キミは誰?」


「とにかくついてきて、安全な場所にいかなくちゃ」


「うーん……とりあえず分かったよ」


 さて、私達はどこに連れていかれるのかな?

 変な場所じゃなければいいけど……。

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