第19話ちょっとした嫉妬


「兄さんは浮気性ですか?」

「まず嫁がいないんだが……」

「私がいるじゃないですか」

「可愛いなぁ可愛いなぁ」


 水着姿(ちなみにビキニで黒色)を纏ったアリスがふややと慌てた。


「嫉妬してくれるのか?」

「当たり前です! 兄さんは私の嫁ですし!」


 クールごとに変わる奴な。


「いえいえ。私の兄さんへの想いは不変ですよ?」


 そう言えるお前が凄い。いや、重度なブラコンであることは言わずとも分かるんだが、それにしたって重症患者だ。そしてそれを喜ばしく思っている俺もいる。


「えい」


 風呂場でのこと。ビキニ姿のアリスは俺の胸板に自身のおっぱいを押し付けてきた。柔らかくて、暖かくて。普通にダメになりそうだ。


「揉んでも吸ってもいいんですよ。兄さんが望むなら挟んでもいいんですから」

「本当にヤらせてくれって言ったら勝負しそうな感じだよな」

「兄さんにだけですよ?」

「嬉しいよ」


 アリスの金髪を撫でる。白髪の綾花とは別の意味で愛らしい少女だ。


「ついでに呪詛を除去するか」

「お願いします」


 タユンと揺れる乳房。その一対二翼のおっぱいの谷間に手をやる。ソナーを投げかけて、呪詛の溜まり具合を探る。


「この程度ならまだまだだな」


 呪詛を癒しながら、俺は一安心。


「ん……ぁは……」


 官能的な声が頭に響く。そうでなくともアリスの肢体は目に毒だ。凶悪なパイオツなぞ、それだけで屋上からダイブもの。ボインがバインボインとは既に述べた。


「ふ。気が楽になりました」

「その呪詛は厄介だよな」

「仕方ありませんよ。一回死んで生き返ったんです。この程度の反発はあって然るべきですし……何より兄さんとの深い絆になっているコレを私は光栄に想います」


 ならいいんだけど。その気になれば周り全てを不幸に落とす呪いだ。俺は大丈夫にしても一般人だと虐殺されるだけだろう。それでも構いはしないんだが、世の中は平和な方が暮らしやすいも一つの意見。


「それで綾花の件ですけど」


 あ、忘れてはくれないのね。別に良いんだけども。アリスにとっては確かに天変地異だろう。俺がアリス以外の女子に興味を持てば。それも美少女と来る。ついでに魔術師。


「兄さんは騙されてはいませんか?」


 最悪ソレでも文句は出ないわけだけども。なんだかなぁ。そんなちょっとしたことで嫉妬してくれるアリスが可愛すぎる。


「兄さんの筆下ろしは私がしますから!」

「大声で何言ってんだ」


 チョップ。手刀。少し力を込めて振り下ろした。


「いたたです……」


 頭を押さえるアリス。普通にアウト発言だ。


「兄さん。愛しています。惚れ込んでいます。そんな私を見捨てないでください」

「見捨てられるなら既にやってるよ。放っておけないから傍に居る」

「つまり結婚しようと?」


 ――どう理屈が飛んだら、その地点に着地する?


 何時ものアリスニズムではあれども。


「本当にアリスは俺を愛しているんだな」

「はい。兄さんより格好良い男性なんていませんよ。御尊貌も性格も」


 いや、斜に構えているので可愛らしい性格ではないんだが。


「綾花を第二夫人にするのですか?」

「そんなえげつない恋愛観を何処から吸収するの?」

「色々と勉強になるネット時代ですし」


 そっちの欲求の処理については俺が口を出すべきではないな。しかし何時でもおっぱいが揉めるって巨乳女子のアドバンテージは破格だな。


「ですかねぇ?」


 揉み揉みとビキニ越しに巨乳を揉むアリス。千変万化する形は、それだけで「卑猥」の一言に収束する。揉みたい。超揉みたい。けれども理性が邪魔をする。そんなことを想っていると、「てい」とアリスが俺の手を掴んで胸元に押し付けた。柔らかく沈み込むような低反発。おっぱいが手元にあった。


「何をする」


 すぐさま手を引っぺがした。


「ラッキースケベ……ですか?」

「女子から能動的に行なうラッキースケベがあるか」

「私のドスケベは今に始まった事でもありませんし」


 ソレを言われると納得せざるを得ない。


「ヨハネ兄さんのメス奴隷になら……何時でも成れますからね?」

「考慮に値するな。アリスが俺の奴隷か」


 そのタユンタユンの乳房も揉み放題。魅力的な提案だった。


「学校でも授業中でも揉んで良いんですから」


 ――さすがにそれは実行すると勇者じゃないか? エクストリームスポーツも真っ青だ。普通に考えてアクションとリアクションが釣り合わない。


「そうでしょうか? 何処でだろうと兄さんに命じられれば私は服を脱げますよ?」

「服は人類の証だから脱いじゃダメ」

「風呂で水着も窮屈ですし」

「其処は勘弁しろ。俺だって天元突破だ」


 もう少しこうさぁ……ヒロインとしての格式とでも申せましょうか。そこら辺の自覚を持ち能いません? アリスの思考を鑑みるに無茶ぶりであることは認めても。


「兄さんのおにんにんを見たいんですけど」

「粗品だぞ?」

「ご謙遜」

「どうして知っている?」


 おい。まさか……。


「それはまぁ兄さんと一緒に寝ておりまして。ついでに起きるのは私の方が早いですし」

「同衾は間違いだったか……」

「ジョークですジョーク」


 いや、結構ガチな告白に聞こえたがな。


「でも兄さんのソレはお勉強の媒体より大きいのは感じ取れますよ?」


 何のお勉強かは……この際ツッコむまい。ソレでも普通に青少年育成条例には反論も無い。問題は、アリスがヨハネ……つまり俺をそんな目で見ていることで。


「なんとかしないとなぁ」


 そうも思ってしまう。


「てい」


 また俺の手がアリスのおっぱいに押し付けられた。フニュン。脂肪に沈んでいく。底無し沼の如き低反発。なのに張りがあり重力に逆らう力。


「また大きくなりました」


 なにがってボインが。


「このビキニでもキツくなってるんですよねぇ」


 そう述べた瞬間、ブチリと布の千切れる音。あまりの乳圧にビキニが限界を突破してちぎり取られたのだ。露出するアリスの巨乳。


「あ。やっぱり」


 その一部の華やかなピンク色を見ると同時に、


「――――――――」


 俺の意識のブレーカーが落ちた。南無八幡大菩薩。

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