第3話妹のしがらみ


 兄妹でデートをした後、俺らは家に帰った。便せんで両親から進学に関して祝辞をもらうのでした。


 それからアリスお手製の夕餉を取って、俺は自室に引っ込んだ。


 読みたいマンガを手にとって閲覧する。しばらく読書。マンガを読むことを読書と表現できるなら。


 そうしていると、コンコンと私室がノックされた。この家には二人しか居ないので、まぁアリスだ。それでもちゃんとノックするあたり品の良さが目立つ。俺と違ってマナーも身につけているしな。あんまり役には立っていないが。


「どうぞ」

「失礼します」

「お前に閉ざすドアは無いがな」


 苦笑交じりに冗談を言う。


「あの……兄さん……」

「何でも言って味噌?」

「また……処置をお願いしたく」

「構わんよ」


 むしろ普通だ。妹のしがらみは兄がフォローするモノ。これもまた兄の役目である。


「それでは」


 シュルリ。寝間着をほどいて脱いでいく。アリスは半裸を露出した。ブラとショーツだけは身につけたままなので、ビーチクと女性器は見えないけども。そのブラからこぼれ落ちそうな大質量は、地球さえ呑み込みかねん。


「目に毒だな」

「やはり下品ですか?」


 自身のおっぱいをフニフニと揉みながら、アリスは不安げな声を出す。


「いや、眼福だが一線を越えそうで怖い」

「兄さんになら良いですよ?」

「そうは言ってもな」

「要するに結婚せず子どもを作らなければいいわけで」


 兄妹で避妊セックスする分には条例も水に浸した障子か。


「呪詛がたまってるな」

「はい。それで……その……」

「分かってる。お前が自虐する必要は無い」


 それは確かだ。


「面倒くさい妹です」

「可愛い妹だ。そこは間違えるな」

「可愛い……ですか?」

「そうでもなければ突き放してるさ」

「兄さん! 大好きです!」


 下着姿のままアリスが飛びついてくる。ボインがボインボイン。


「ちょ。待て。落ち着け」

「ほら。兄さん? このおっぱいは兄さんのモノです」

「まぁそうではあるが今は別の用があるだろ」

「一線を越えてくれないのですね」

「さすがにな」


 状況的に十八禁だ。


「とまれ」


 ゴホンと咳払い。


「呪詛の面倒だろ? 俺の役目だ」

「その……お願いします」

「ああ。相承った」


 ブラとショーツ以外全てを脱ぎ去ったアリス。今更に恥じらうように赤面し、乙女の顔で俺を見る。その初心な反応が俺をそそり立てる。もっとも破廉恥なことはしないわけで。


「……………………」


 俺は無言でアリスの胸元に手をやる。乳房の間。谷間だ。胸に触れるのは十八禁だが、そこまでいやらしいことを俺はしない。妹のブラコンを承知で、しかし理性が勝っていた。


「兄さんにはご迷惑を」

「気にするな。元よりそのつもりで処置したからな」


 妹の呪詛を取り除く。


 心臓周囲に呪詛がわだかまっているのが感じ取れた。胸元に手を触れたのはそういうわけだ。ソナー代わりに能力を発露し、適確に修正していく。


「あ……んぅ……」


 感じ入るアリス。どうやら俺の能力は性欲を刺激するらしく、何時も以上にアリスは発情していた。それも慣れたモノ。ドクンとアリスの心臓が高鳴った。


「は……ぁん……っ!」


 呪詛を抑制する。正確には治す。治癒が俺の本質だ。あの日から、アリスにとって俺は専属医になった。呪詛……つまり呪いを身に宿す妹。その呪いを定期的に無かったことにする俺。裸の付き合いは、あの日から変わっていない。


 そこに妹の本質がある。


 ブラコン。


「兄さん大好き!」


 の根源だ。


「よし。こんなところだろ」


 自身の治癒を終了させる。


「はあ。気持ちが晴れました」


 呪詛は何も身体にだけ作用するモノじゃない。心情にも作用する。心身一如で、呪うからこそ呪詛と呼ばれるのだ。そしてその呪詛を取り払うと、アリスは心の頸木から解かれて、スッキリ爽やかな心地になるとのこと。


「ありがとうございます兄さん」

「ま、何時でも言え」

「ついでにおっぱいでも揉んでみませんか?」

「魅力的な提案だな」


 豊かな巨乳は女子高生とさえ思えないほど恵まれていた。パイオツカイデーはアリスの仕草に反応してユッサユッサと揺れ動く。それは俺の性欲を刺激した。重力の逆らうハリ。そと矛盾する柔らかな脂肪。おそらく揉めば手の形に自在に歪ませるだろう。それほどの巨乳をアリスは持っているのだ。


「ま、後日な」


 俺はソレだけを言う。


「抱いてくださっていいんですよ?」

「本気にしてしまうから止めろ」

「本気なんですけど」


 それも知ってはいる。『あの日』からアリスは俺に異性を見出した。他の男どもは十把一絡げ。俺に愛されることを第一義とする。それは光栄なことだし、兄としての名誉でもあるのだが、生憎とこっちは常識に普在する。


「ドクン」


 巨乳の谷間に人差し指を押し刺して、俺は治癒を具現する。


 ――ドクン!


 アリスの心臓が高鳴った。


「ふぇあわや……っ!」


 赤面するアリス。


「この程度で狼狽するなら挑発するな」


「兄さんは私の身体を好きにして良いんですよ? おっぱいを揉んでも良いですし、吸っても良いですし。挿入しても良いですし、挟んでも良いですし、しゃぶらせてもらって良いですし。兄さんの性欲を全身全霊で受け止める覚悟です。それとも首輪をつけますか? 兄さんの肉奴隷になら私は身をやつしても構いません」


「変なマンガの読み過ぎだ」


 こんな全裸巨乳を性奴隷に……ソレは魅力的な提案だった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る