第41話 妄想が止まらない!
――と、いうわけでっ、いよいよ始まりました!
わたし、ルチル・ヒューシャは今、乙女ゲーム『恋の華が咲くまで~学園編~』の舞台、王立学園の入園式が行われる講堂前に来ております!
攻略対象との初顔合わせですよ――!
はい拍手っ、パチパチパチパチパチパチ――――!!!
オホホホホッ、いよいよ生で攻略対象のイケメン達に会うのですわよ……超ドキドキしてるしっ。
ではではではっ、実地で前世の記憶との擦り合わせといこうかな、うん。
――えっと、まずは主要なメンバー五人を年齢順に思い並べてみると……。
フレデリック・サクス伯爵令息(十三歳)
シリル・レジーナ侯爵子息(十四歳)
クリストファー・ランドル第二王子(十五歳)
ハロルド・バイロン公爵令息(十六歳)
ロイド・リーン子爵令息(十七歳)
となってて、この中で今日会えるのは三人だけ。
フレデリック様とシリル様、そしてみんなの王子様、クリストファー様です!
残りの二人、ハロルド様とロイド様は上級生だからここでは会えない。出会いイベントまではおあずけです。
確か、ゲーム開始時点でハロルド様は一つ上の学年にいて、ロイド様は最終学年の五年生だったはず。先輩と後輩の関係もいい……燃えるよね!? うふふっ、待ち遠しいなぁ。
画面越しじゃなくっていよいよ三次元の皆に会えると思うと……はぁ、幸せすぎ。またまた、いっぱいドキドキしてきたっ。
……わたし、今日だけでこんなに心臓酷使してて、これから持つんだろうか……大丈夫?
余計な心配もしながら講堂の中に入っていくと、思った通り中は広くて豪華、まさに乙女ゲームの世界って感じでキラキラしてた。いいねいいねっ。
さて、普通なら大勢の新入生の中から攻略対象のイケメン三人を探すのは大変じゃないのかって思うでしょ。だけど大丈夫、わたしにはゲームの記憶がある。
ヒロインは、
そして、女生徒達の押さえきれない黄色い声と熱い視線の先を追っていくと、噂の人の後ろ姿を垣間見る事が出来る……というもの。
うん、シナリオ通りちゃんと確認出来たよ。 設定通り見事な銀の髪と緑の髪の人。派手な髪色だなぁ、茶色系の髪色が多いので遠くからでもすぐ彼らだって分かる。
まぁわたしも乙女ゲームのヒロインらしく、ザ・ピンクって感じの特殊な髪色で同じくらい目立ちまくっているけどね。さっきから、好奇な視線をチラチラと感じるし。
とにかく二人は並んで座っているみたいで、頭の先の方だけちょこんっと見えた。
シリル様とフレデリック様ですよ……高位貴族達が座る前の方の席に本当にいる……。
すごい、本物だぁってことで感動したんだけど、やっぱり早く麗しいご尊顔とか含めて全身を拝んで見たいです!
クリストファー様はまだこの場面ではいない。
ただ、もうすぐ始まる新入生代表の挨拶で壇上に上がる予定で、その時に必ず見ることが出来るからそこまでは我慢だね。
王立学園の在学資格は十三歳から十七歳までの間で、その間ならいつ入学してもいい。
そして一年以上在学すれば飛び級して卒業することも可能という条件もあるんだけど、これは王族のために設けられた制度だと言われている。
王族としての公務や警備上の問題などもあり、クリストファー第二王子の在学期間の予定は最長三年。
親密度が上がらないと一年で卒業してしまい攻略不可になるという難易度の高さだ。
それでも金髪碧眼で、まさに女の子の理想の王子様らしい王子様が攻略対象に一人いるのは王道だよね。
最初のうちは、王族らしく傲慢で俺様なところがまた堪らなくいいんだ! その後、ゲームが進むとヒロインにだけにやたらと甘く、優しくなるのもねっ。デレた時の破壊力は凄かったんだよ。
前世でも一番人気の高い攻略対象で、彼の背景にはピンクのハートが飛びまくっていたなぁ。
でもそれは、この世界でもそれは変わらないみたい。
いよいよ彼が紹介されて壇上に登場した途端、女生徒からだけでなく男子生徒の視線もビシバシと浴びまくっている。
何故男子までって思ったけど、周囲の会話から彼等には家から是非、王子のご学友になってこいって指令が出ているんだって分かった。
そっかぁ、だからみんな意気込みが違うというか、ギラギラしているんだね。大変だなぁ。
え? と言うことはわたし、この人達を掻き分けて攻略することになるの? ハ、ハードル高くないですか!
う~ん……これは押せ押せで行かないと無理かな、ヒロイン特権があっても埋没しちゃうんじゃない!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます