拗らせ女の恋愛遍歴(仮)

@kojirase39

序章

いくら肉食系でも歳をとると

需要は激減w

独身アラフォー女には

2月の風は冷たすぎる…。


賑やかな週末の終電間際の地下鉄を降り、

凍った路面に足を取られないよう

誰も待っていない自宅へと歩く。

コートのポケットに両手を納めて。


自宅はオートロック

マンションの住人らしき男性が私より先に

エントランスの入口にいる。

部屋番号を押し、家の中にいる誰かが

ロックを解除、足早にエレベーターに向かった。

エントランスはガチャっという音を立て、

鍵をかける。

「いつもここでもたついてしまうなぁ〜。」

と思い、溜息をつく。

鞄の中に入っているキーケースを

探すのに毎度手間取るからだ。

マンションのオートロックの鍵を

開けてくれる人はいないから

いつも鞄からキーケースを出し、

自分で開けなければならない。


エントランスの鍵を開け、

エレベーターに乗り、7と書かれたボタンを押す。

玄関の鍵を開け、真っ暗な部屋に迎えられ

誰も答えてくれるはずもないのに

「ただいま」と言ういつものルーティーン、

もう半年が過ぎた。


マナーモードにしていたポケットの中の携帯に

SNSの通知がついている。

メルマガだった。

もうすっかり慣れた。

誰かからのLINEなんか来ちゃいない。

期待もしてない。


どんな歌詞のラブソングを聞いても、

どんなに素敵な映画を観ても、

プレミア物のお酒を飲んでも、

有名店の美味しいスウィーツを食べても、

心の隙間は埋まらない。


私はいつから恋愛が出来なくなって

しまったんだろう。

私はいつ女としての階段を踏み外して

しまったんだろう。

どうして恋愛対象として見られなくなって

しまったんだろう?


確かに一人で生きていても不自由は無いのだ。

そこそこの収入を得られる会社に勤め、

治安の悪くない便利な場所に住み、

時間もお金も全て自分のために使える。

他人からしてみたら悠々自適な独身貴族に

見えるのだろう。

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