第四五二回 ケロリンの調べが聞こえるの。
――イエスタデーがウェンズデーな、今日はサーズデーで、その夕映え待たず頃。
天空からは滝のごとし雨が天井を叩く。ここは最寄りの駅の敷地内。ここからお外に出ると、太郎君のお家は近し。でも、まだ帰ってないと思われる時刻だ。
僕は……
僕らは、夕映えを待たずに帰路を……
いや、それ以前に今日は曇りのお空で、予報では謳っていなかったけれど、雨がその過程を経て激しさを増した。川の氾濫などの恐れを秘める嵐のように勢いづいた雨。
稲光の怒号とともに、まるでドラムのように奏でる調べ。確実に嵐を呼ぶ最中で、まさしく現在に蘇る蛇の目でお迎え嬉しいな……その様な心境で、迎え入れるの。今一度、記憶に蘇る中間考査のような、意表を突いた出来事。ここまで迎えに来られたのだ。
それはそれは、
……お迎えが、目の当たりにあったの。
僕ら三人に関係する人物。僕と
だったら一人だけ違う名字の子。僕ら三人の中で。
「可奈、迎えに来たよ」と、
との感じで、招いてくれたの。――
最寄りの駅からは、太郎君のお家の次に近い場所。それも僕が以前住んでいたお家の殆ど傍ら。そしてドラッグストアー兼コインランドリーの駐車場の裏手。つまりはそこなのだ。藤岡家のお母さん。つまり可奈のお母さんがおもてなしをしてくれたのはね、
……そう。梅雨入り奏でるケロリンの、激しき雨の後での鳴き声だった。
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