第三一七回 それでね、更新しようと思ったら。


 ――PCが更新プログラムの構成を始めてしまったの。



 PCは二台。黄色のノートと白いデスクトップ。……更新プログラムの構成を始めたのはデスクトップの方。でも、よりによって、そのPCからログインしているのだ。


 ――小説サイトの『書くと読む』に。



 つまり……どうなるのかと言えば、更新プログラムの構成が終了しない限り『書くと読む』にアクセスができないということ。エピソードの更新ができないということ。


 二十三時四十五分の時点で、二十三パーセント。

 しかも平日で、明日も登校日。……待つと朝になりそうな感じなのだ。


 毎日更新を目指していただけに残念で……途方に暮れつつも僕は、梨花りかのお部屋を訪ねる。襖……というのか戸は閉まっていて、ノックをする三回。


 返事はない。もちろん返答も。


 眠っちゃったかな? と思いつつも、僕は……戸を開けた。

 暗かった。照明は豆電球のみ。それでも一応は、声はかけてみるの。一応は……


「梨花、眠っちゃった?」と、そんな具合に。


「どうしたの? 千佳ちか


「へっ?」――ビックリした。ベッドの上、お布団には入っていたけれど、パチクリと目を開いていて……梨花は起きていた。僕は「あ、あのね……」という具合だけれど、


「千佳ったら、枕まで持ってきちゃって……一人じゃ眠れないの?」


「う、うん……」


 するとバサッと、梨花はお布団を少し捲り上げて、


「おいで、千佳。一緒に寝よっ」


「うん」


 そしてお布団の中へ滑り込む。梨花の体温も混ざり合って、とっても温かかった。



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