俺、吹部に入るわ。

宵薙

-intro- 姉が立った憧れの舞台に

 全国大会。それは、吹奏楽部に入るものであれば一度は夢見る舞台だ。


 関東、東海、近畿……など、様々な都道府県、地域から狭き門を通り抜けたバンド達。その最高峰の戦いが、今俺の前で繰り広げられている。


 華やかな衣装。綺麗で流れるような旋律。カラフルな旗が宙を舞い、指揮者は楽しそうに演奏に合わせてステップを踏む。まるでミュージカルを見ている気分だ。


 真っ白なステージの上に乗って、輝くスポットライトにまぶしいぐらいの笑顔を浮かべながら、奏者は舞台を駆け回る。


 ――マーチングバンド全国大会。


 その舞台に、俺の姉は立っている。俺は、絶対にここに戻ってくる。何らかの楽器を手に取り、一生懸命に練習して。


 一年後に、もう一度この舞台へ。


「四北ー!! 最高ー!!」


 演奏が終わり、歓声と拍手の音が場内を埋め尽くすなか、俺はそう固く心の中で誓った。

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