第33話・嘘
「ハンバーガーはやっぱり、照り焼きに限るな」
瑠璃はそう言ってチーズバーガーを頬張っていたが、皆無視して別の話になっていた。口を開いたのは風だった。
「よく考えたらキャンプではこのメンバーで皆揃っては話したりしなかったね」
次に染杏はエビカツバーガーを無理やり食い終わり、口を開いた。
「そうですね。色々大変でしたからね。真依ちゃんの事はありがとうございました」
「その件は俺達も出来るだけ調べている。そしたら色々分かってきた」
瑠璃はそう言うと鞄からメモ帳を取り出した。
「小倉真依。刹那高校一年十六歳。物心がつく前に両親に捨てられて祖母と一緒に暮らしていたけど、亡くなってしまい、色んな人に引き取られてしまったらしい」
続きは染杏が話し出した。
「そして色々繋がりが見えてきたんです」
「繋がり?」
風は何となくだが嫌な予感がしてきた。染杏の顔は強ばっており、瑠璃も先程とは違い真剣な面持ちをしていた。算学は一人外の景色を眺めており、話は聞いている様子だった。
「真依ちゃんの父親実は、学校の教師で、一人の生徒の事に好意を持っていたらしいんです」
その話を聞いて風は一つの事を思い出していた。それは
「真依ちゃんの父、その好意を寄せていたのが……」
染杏は少し言いづらそうにしていたが、瑠璃が頷き染杏は恐る恐る言った。
「東城翔子さん。風さんのお母さんです」
その発言に風は驚きの余り立ち上がり、冷や汗が出始めた。さっきから外の景色を眺めていた算学も風の方へと振り向いた。続け様に瑠璃が口を開いた。
「それだけじゃない。小倉真依の母親がハンバーガー店員だった」
急に空気が変わったのを皆揃って感じた。先に口を開いたのは以外にも算学だった。
「で、会ってきたのか。その小倉真依の母さんに」
すると瑠璃はニヤリと笑い、二個目のチーズバーガーにかぶりついた。
「いや、会ってない。……やっぱり、照り焼きバーガーは堪らんなぁ」
すると瑠璃の顔めがけて風は少し本気のパンチを食らわした。
「おいてめぇ、照り焼きバーガーとチーズバーガー間違えるんじゃねぇ! チーズバーガーはチーズ入ってるんだぞ。乳製品だぞ。照り焼きバーガーにチーズ入ってますか?入ってたら、問題だぞ。名前を照り焼きチーズバーガーもしくは、チーズ照り焼きバーガーに変えればぁ?」
風は瑠璃に怒りをぶつけた後、瑠璃を蹴った。軽くとことん蹴った。見ていた染杏と算学は揃って口にした。
「怒る所違くない?」
瑠璃が目覚め、風も落ち着いた時、話は再開した。
「残念ながら何処のハンバーガーショップで働いているかは分からないんだ。」
算学はさっきから気になっていた。算学がその事を聞こうとすると、風が口を開いた。
「何処からそんなに情報が来るの? 流石に情報量多いし、怪しいルートじゃないよね?」
すると算学は再びチーズバーガーにかぶりつき、カッコつけて言った。
「言ってなかったけ、何を隠そう母さん警察の人間さ。」
風は呆れて言った。
「それただお母さんから話聞いただけでしょ。瑠璃何も努力して無くない?」
「お前ら一体何やってるんだ」
すると教室には風達の担任の教師である
「帰ります! お疲れした!」
瑠璃はさっさと帰ってしまい、教室には風、算学、染杏、遠が残されてしまい、不穏な空気が広がっていた。
「全部話は聞いた。小倉の事が気になってるんだな」
三人は頷き、遠は言葉を選びながら喋り出した。
「心配してくれてありがとうな。小倉の担任の教師も亡くなる前からちょっと心配していてな。小倉のお母さんも反省している話だ」
「嘘だな。反省? 自分の子を捨てなければ良かったてか?」
口を開いたのは算学で、風も見た事ない怒りようで、ちょっと泣いているようにも見えた。
「算学落ち着け。警察の前で泣き崩れたり、直ぐにお子さんの遺体を引き取ったらしい」
が、算学はそれで怒りが鎮まる事は無く、寧ろヒートアップする一方だった。
「そんなの泣き真似だろ!! 遺体を直ぐに引き取った? だから何だよ!! アイツは取り返しがつかない事をした!! 牢獄にぶち込まれるか、神にでも罰される必要がある人間だろ!!」
風は算学の顔にビンタを食らわそうとしたが、算学の顔をビンタしたのは染杏だった。
「何でそんなに卑劣な事を言えるんですか!? それでも人間ですか!? この……この……」
段々染杏の声の強さは弱まり、染杏は教室から出ていった。
「なぁ先生、二人で話しませんか?」
算学は声に力はなく、一方の鳴子は頷き、二人は教室から出ていった。
「先に帰ってろ……風」
風は一人帰っていると、一人の少子に話しかけられた。
「あらぁ、どうしたのかなぁ?数君にでも虐められたのかなぁ?」
その少女は算学の元彼女の
「数君って人殺しの子なんだよ、知ってたぁ?」
風はそれを聞くなりすぐ様胡桃と距離を取った。胡桃から嫌な雰囲気を感じていて変な汗が出た。
「貴方は誰ですか?」
胡桃は舌打ちすると、口を開いた。
「つまんないなぁ~すぐ私の正体知っちゃったらさぁ~ね、おばさん」
胡桃の隣にいつの間にか一人の女性がいた。風はその女性の目つきが真依に似ていた気がしていた。
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